ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10025566hit]
■尾田栄一郎さんの「少年たちに向けて”少年マンガ”を描き続ける」ことへのこだわり
『マンガ脳の鍛えかた』(取材・文:門倉紫麻/集英社)より。
(『週刊少年ジャンプ』の人気マンガ家37名への総計15万字のインタビューをまとめた本。『ONE PIECE』の尾田栄一郎さんへのインタビューの一部です。「」内は尾田さんの発言です)
【「ONE PIECE」は、自身が言うように”王道”の少年マンガだ。
主人公・ルフィは、子供ならではの快活さにあふれ、脇を固める大人たちは、しっかりと大人の領分を守る。ありそうで中々見られない、そんな美しい関係性も魅力のひとつだ。
「それが僕の理想なんだと思う。『子どもはもっと子どもらしくしなさい、大人はもっとしっかりしなさい』と思っているのかもしれない。僕はすごく普通のことを描いていると思いますけどね。昔ながらの”少年マンガ”ってそういうものでしょう。今の社会では、大人が子どもっぽくなってきているから、僕のマンガが珍しく感じられるだけなんじゃないですかね」
尾田は一貫して「少年たちに向けて”少年マンガ”を描き続ける」と言い続けてきた。
「今もそう思っています。長くやっていて一番思うのが、読者はどんどん成長していくものだ、ということ。でもそれに作者が流されないことが大切なんです。読者に合わせていくと、マンガもどんどん大人っぽいものになっていくでしょう。そうしたら、次の少年たち――”新入生”が入れなくなっちゃうじゃないですか。固定ファンだけが喜ぶようなマンガになってしまう。読者は、循環していいんです。僕は、”少年マンガ”の読者は大人になって出ていくものだと思っているから、常に今入ってきた少年たちが喜べるかどうかを考えている。その照準がブレなければ、”少年マンガ”は大丈夫だと思いますけどね。これは、長くやってきて、いろんな時期を経験し壁にもぶつかって、反省も踏まえて出てきた答えなんですよ」
尾田自身も、描いていて「新入生が入って来なくなった」と思った時期があったのだという。
「これはいかん、と思って『とにかく少年たちに向けて描くんだ』という意識に立ち返ったんです。大体5年周期くらいで読者は入れ替わる気がしますね。だから『ONE PIECE』はこれから第3期生ぐらいをお迎えする頃じゃないかな(笑)」
これから先、マンガはどうなっていくと思うか、という問いに、「”少年マンガ”と区切っていいのなら」と前置きして、こう答えた。
「何も変わらないと思います。少年がゾクゾクするものって、昔からまったく変わっていない。子どもの頃の僕がこれを読んでも喜ぶはずだ、と思えるものを提出すれば、間違いなく今の子どもたちもおもしろいと思ってくれる。たしかに、マンガ界の傾向が変わってきていることは感じたりはしますけど……うん、でもやっぱり変わっちゃだめなんですよ。変わらないというと、古いものを描き続けるイメージかもしれないですが、僕が言っているのは、そういうことではない。むしろ”斬新な”ものは、必要なんです」
変わらない、けれど、斬新であり続ける。一見相反するもののようだが……。
「うーん、具体的に言うと、僕が”海賊マンガ”という今までにない斬新なものを世に送り出して読者が食いついてくれたあの瞬間――『ONE PIECE』を送り出そうと思ってがむしゃらに新しいことをやっていたあの瞬間の必死な状態を、ずっと変わらずに続けていかなければいけない、ということです。時代が変わっても、少年たちが”少年マンガ”に斬新なものを求める状態は変わらない。だから作家も、常に斬新でおもしろいものを作り続ける状態を保っていなければならない――いわば”保持”していなければならないんです」
つまり、保持していくためには「常に”前進”し続けていなければいけない」ということ。
「それなのに、一度人気が出たら惰性でそのままの状態を続けていけばいい、と錯覚してしまう人もいるかもしれない。でもそうなった時点で、それはもう保持ではなくて”後退”なんです。同じものを出すということは、古いものを出すのと、同じことです」】
〜〜〜〜〜〜〜
[5]続きを読む
07月04日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る