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活字中毒R。
by じっぽ
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■久石譲さんの『もののけ姫のテーマ』誕生秘話
『NHK「トップランナー」の言葉』(NHK『トップランナー』制作班著・三笠書房)より。
(作曲家・久石譲さんの回(1998年3月6日放送)の一部です。宮崎駿監督の作品の音楽について)
【宮崎作品に対して久石は、1984年の『風の谷のナウシカ』以来、6作(番組放送時・現在は9作)にわたり多大な貢献をしてきた。とくに1992年『紅の豚』から5年ぶりに公開された『もののけ姫』では、わずか1分半の曲に2週間をかけるほど、音づくりに悩むことがあったという。
久石譲「『もののけ姫』に対しては、本当に正面から取り組んだんです。自分自身で逃げ道がないようにした。
何でもそうですが、正面切って自分の逃げ道がないようにすると、気負いが先に立って逆にうまくいかないことってありますよね。だからわざと斜に構えて取り組むようなこともあります。そうするとかえっていいスタンスで良い仕事ができることがある。
でもこれ(『もののけ姫』)に関しては宮崎監督の熱意に圧倒されちゃって、こちらも防御を張っている間もないうちに引きこまれてしまった。そうなると、こちらとしてもやることはただ一つ。フルオーケストラでいいものをつくることだけだった。これはキツかった。でもうまくいってよかったと思います」
しかし、あの不朽の名作ともいえる『もののけ姫』のテーマ(歌)が誕生した瞬間について久石は、ファンには意外とも驚愕とも思える証言をする。
久石「あれにかけた時間は20分か30分ぐらいかなあ。だって全体のテーマ曲とは思ってみませんでしたから。
実はいつものイメージアルバムづくりのやり方だと、宮崎さんからこういうイメージです、と10個ぐらい言葉をいただくんですよ。その言葉に対してこちらもイメージを広げて曲を書いていくんです。でも『もののけ姫』に関して言えば、来る言葉がすべて『たたり(神)』とか『もののけ(姫)』とかでしょ。どうしても暗くなってしまって、明るいアルバムはまずできない。
宮崎さんもこれはマズイと思ったらしくて、珍しく1曲1曲に対して内容をしっかり書いた手紙をいただいたんです。その中の『もののけ姫』のところに、『はりつめた弓のふるえる弦(つる)よ 月の光に』というポエムのような一節があって、これは歌になるなと素直に思って、ささっとつくってレコーディングしちゃった。それがテーマになったという経緯ですね」
宮崎監督との間で育まれたそんな絶妙のパートナーシップは、一見、入りこむ隙すらないような最高のコンビネーションだ。だが久石は極めて冷静である。
久石「いや、コンビではないですよ。毎回、宮崎監督は、『どこかにいい作曲家はいないか?』と探していると思いますよ。そのたびにたまたま、『やっぱり久石がいいや』と思って使ってもらっているだけだと思います。
だから1回でもつまらない仕事をしちゃえば、それで終わりですね」
この厳しさ、プロ対プロのクールな関係は、北野監督との場合でも同じだという。
久石「僕ら、すごくハッキリしているのは、仕事の場でしか会わないんです。普段飲みに行くようなことも一切しません。映画のたびに、『今度はこいう映画ですが、どうですか?』『では一緒に』というスタンスです。
だからもう、本数を重ねるにつれてすごく苦しくなってきます。ほんと、苦しいですよ。だって同じ手は使えませんから。だから同じように一生勉強していかないと。だって『この前やったのとまた同じじゃない』と言われたら終わっちゃいますから。そう考えると、本当に、すごく厳しい現場なんです、音楽の現場というのはね」】
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宮崎駿監督、北野武監督作品の音楽といえば、久石譲さん。
日本を代表する作曲家のひとりであり、映画音楽の第一人者(坂本龍一さんもいらっしゃいますが、最近はあまり仕事をされていないようですので)として知られています。
宮崎アニメの音楽を聴いたことがないという日本人は、たぶん少数派のはず。
先日アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した、『おくりびと』の音楽も久石さんだったんですよね。
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03月04日(水)
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