ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■本物の科学者は「現代の科学では説明できない」とは言わない。
『「科学的」って何だ!』(松井孝典・南伸坊共著/ちくまプリマー新書)より。
(「科学」についての松井孝典さん(惑星科学者・東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)と南伸坊さん(イラストレーター)の対談をまとめた新書の一部です)
【南伸坊:「科学にも限界がある」ということが、昔から言われていますよね。「限界がある」というアナウンスのほうが大きくなって、「現代の科学では解明できない」ってオカルト派得意のフレーズがあります。「そうだよ、科学では解明できない不思議なことってあるんだ」っていう。だからスピリチュアルとかがはやるのは、人々の科学者への対抗心みたいな心理があって、「科学ではわからない世界」という土俵にもっていきたいんです。
松井孝典:それはどうですかね。南さんがおっしゃったこと自体の中に矛盾がありますよ。
南:え? そうですか。
松井:素人の人は残念ながら絶対にその境界に行けないんです。ようするに、「わかる世界」と「わからない世界」の境界は科学者でないとわからないんですよ。ふつうの人には何がわからないのか、具体的にはわからないんです。
南:ああ、はいはい。
松井:「何がわかっていて、何がわからないか」をわかってない限り、わからない世界はわからない。僕はふつうの人からどんなことを訊かれても、たとえわかっていないことでも、わかっているかのように説明しますよ。いくらでも科学的に。でも、ふつうの人には、その説明のどこにまだわからない部分があるかは理解できない。したがって、ふつうの人のあいだで「何がわからない世界か」がわかるわけがない。
南:いや、そうなんですけど(笑)。今みたいに科学的に否定されることへの反発なんです。「現代の科学では解明できない」って、その時の呪文なんです。
松井:プロになって初めて、「わかるって何なのか」がわかるともいえるんですよ。自然に関していえば、わかっている世界とわかっていない世界の境界が、そのプロには明快にわかります。だってその境界のところを毎日毎日考えているのがプロなんですから。
南:そうですね。
松井:じつは、そこに境界があるのがわかるということは、そもそもプロということなんですよ。だから「科学ではわからない」という地平に、一般の人が立てるということ自体がありえないんです。
南:でも、誰か科学者が「いやこれは科学ではわかりません」ということを言ったんじゃないですか。だからこういう言葉が広まった。
松井:すべてに関して「科学的にわかりません」ということはない。どんな場合でも「ここまではわかっているけど、ここから先はわかりません」という言い方をすべきなのに、もし「いっさい科学的にわからない」という科学者がいたとしたら、その人の言葉が足りないんです。科学的インタープリター能力が高くない人、つまり科学者といえども言葉で説明できない人はたくさんいますから。
南:「わかる」ということと「言葉で説明できる」というのは、また別ですもんね。
松井:細かいところを飛ばして「科学的にわからない」と言っちゃう科学者もいるわけですよ。プロの間ではそれでもわかるんです。だけどそれを一般の人に言ったりすると、そういう誤解が生まれてしまう。そこがダメなんですね。
南:ああ、なるほど。
松井:科学者といってもピンからキリまでいるわけです。しかるべき研究者に訊いてくれれば、そんなことはないんですが。私なら「ここまではわかってますよ。ここから先はわかっていません。だけど、こういうふうにすればいずれわかるでしょう」というような言い方をしますが。】
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この松井先生の話、前半はかなり「わかりにくい」ですよね。僕は何度か読み返して、ようやく理解できたような気がしますが、さて、本当に「わかった」のかどうか……
南さんが、【今みたいに科学的に否定されることへの反発なんです。「現代の科学では解明できない」って、その時の呪文なんです。】と言い返してしまった気持ちのほうが「よくわかった」のも事実。
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11月17日(月)
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