ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■某有名人材派遣業者の「登録カード」の甘い罠
『「生きづらさ」について』(雨宮処凛・萱野稔人共著/光文社新書)より。
(人間関係、貧困、社会の中で疎外感や居場所のなさ……
雨宮処凛(あまみやかりん)さんと萱野稔人(かやのとしひと)さんによる、現代の「生きづらさ」についての対談集の一部です)
【雨宮処凛:非正規雇用と借金のつながりでいえば、露骨なのが「フルキャストファイナンス」ですよね。
萱野稔人:まさに派遣業者自身がサラ金をやっている。
雨宮:フルキャストで働く人には登録カードをつくる必要があるんですが、なんとその登録カードがサラ金(フルキャストファイナンス)のカードにもなっている(笑)。これは果たして合法なのかと思ってしまうほど、恐ろしいシステムです。しかも、フルキャストで働くと、日払いの給与明細の裏にフルキャストファイナンスの広告が入っていて、「いつでもお気軽に」みたいなコピーが踊っている(笑)。なぜこういうのが野放しになっていて規制されないのか不思議です。
萱野:それは完全に昔の飯場(土木建築の現場近くに仮設された労働者の合宿所)と同じ構造になっていますよね。
飯場では、流動化した不安定労働者を集めて、働かせて、仕事が終わると賭博をさせる。その賭博を開帳しているのは、もちろん飯場を管理している労務供給業者です。で、労働者が賭博で負けるとカネを貸す。その結果、労働者は借金のせいで、いくら仕事が厳しくてもやめられなくなる。
さらにいえば、どんなギャンブルや宝くじでも、一番儲けるのは、賭けをしているプレイヤーではなく、それを開帳してテラ銭(賭け金のなかに含まれる参加料、主催者の開帳手数料)を手にする主催者です。つまり賭博をすればするほど、労働者は――誰が勝とうが――トータルとしてどんどんお金を吸い上げられていく。飯場で稼いだお金よりも、借金のほうが膨らんでしまうということだって珍しくありません。
雨宮:今年(2008年)のメーデーのアフターパーティでも、一緒に司会をした33歳の駐車監視員の人からそういう話が出ました。
彼の友達や同僚たちのリアルな世界というのは、職場の近くにパチンコがあって、そのとなりにサラ金があるというものです。で、仕事が終わったらすぐパチンコにいって、お金がなくなったらサラ金で借りて、またパチンコに戻り、時間になったら家に帰って寝て、翌朝また仕事へ行く。借金のために働き続ける。そういうサイクルのなかで完結してしまっている。
パチンコとサラ金は、全国の国道沿いの風景です。これは経済的に元気のない地方でも変わりません。仕事と借金とギャンブルの循環のなかに閉じ込められたような生活は日本中にある。】
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そういえば、僕が今住んでいるアパートを借りるときも、不動産会社の人に「うち(の系列の不動産)は家賃がカード引き落としになっているので」ということで、クレジットカードに加入させられた記憶があります。なんだか腑に落ちなかったのですが、いまさら新しい会社で部屋探しをするのも面倒だったので、結局入ってしまったんだよなあ。
あらゆる業種で、さまざまな特典付きの「●●カード」への加入が呼びかけられているのですが、こんなにカードを作らせたがる企業が多いというのは、「カードを作らせる側」にとって、それがいかに「美味しいビジネス」であるか、ということを示しているのでしょうね。
本当に「お客にだけ得なカード」を、あんなに一生懸命宣伝するとは思えませんし。
しかし、この「フルキャストファイナンス」の話は、なんだかあまりに露骨すぎて、それこそ「笑うしかない」ですね。
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08月05日(火)
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