ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「あ、カンペに清水新ネタを披露って書いてあるけど、やりたいわけないよな。つらいよな」と言ってくれた人気司会者
『いらつく二人』(三谷幸喜、清水ミチコ著・幻冬舎)より。

(三谷さんと清水さんのラジオ番組『DoCoMo MAKING SENSE(J-WAVE)』の2005年12月〜2006年5月放送分を書籍化したものの一部です)

【三谷幸喜:ま、それより清水さん、悩みがあるらしいですね。

清水ミチコ:悩みじゃないですけど、バラエティ番組に出演する時って、必ずといっていいくらいに、「清水、新ネタでモノマネを披露しながら登場」なんて台本にあったりするんですよ。それがすごく、やりにくいんです。

三谷:視聴者としてはね、そういうの見たいってありますからね、そりゃ頼みますよね。

清水:でも、私としてはちょっと断りたいんですけど、断り方がわからない。

三谷:どういうことなんですか。

清水:やっぱり新ネタっていう感じでふられると、期待も上がるじゃないですか。しかも、新ネタって言われてもそうそうないんです。

三谷:毎日新ネタ作ってるわけじゃないですからね。

清水:まあそれもあるし、周りの人に、笑う用意をさせてる空気を作らせるのがいやなんです。

三谷:ああ、わかるわかる。

清水:この間もほら、古畑任三郎さんのお嬢さんと会ったって話の時、三谷さんに田村さんのモノマネやってって言ったらできなかったじゃない。やっぱりなんか、モノマネってひょいと自分で思いついた時にポンと入れると楽しいんだけど、そうじゃなくて、さあ、おなじみのをやれ! と言われるのはつらいよね。

三谷:確かに、あの時はむかっときたもんな。いまさら田村正和さんのモノマネしろっていうのひどいじゃないですか。やっても絶対面白くないもん。

清水:そうなの、無理にやらされる感じだと面白くないんだよね。だけど、その空気を説明するのが、すごく長くなりそうで説明も面倒くさくなって、今までやってきちゃったの。おまけにカットされることもあったりして。

三谷:ああ、ショックですね。ある意味オーディションに落ちたみたいなもんですもんね。

清水:長年モヤモヤしてたんですけど、先日ある番組に出たら司会者が、「あ、カンペに清水新ネタを披露って書いてあるけど、やりたいわけないよな。つらいよな」って言ってくれてすごく感激したんです。さぁここでクイズです。それはいったい誰でしょう。

三谷:はい。

清水:お笑いの方ってのは、人の気持ちを察するのが早いなあと思ったんです。

三谷:紳助さんでしょ?

清水:あ、なんでわかった?

三谷:もうわかりますよ。だって、言いそうじゃないですか。

清水:人の心理がわかる人って感じ?

三谷:AB型ですからね、紳助さん。

清水:え、そんな判断? 私は十数年やってきてそんなこと言われたのは初めてだから、あまりにもびっくりして、パクパクしましたね。

三谷:お尻がパクパクしたんですか?

清水:心臓ですよ。紳助さんのおかげでその時は救われましたけど、これからもあると思うとちょっとうんざり。

三谷:この仕事を始めたからにはもう宿命じゃないですか。そりゃやらなきゃ。

清水:ついさっきその気持ちわかるって言ったじゃん。大勢のお客さんがいる前で「ねえ古畑さん」って言われて、断るのはすっごく難しいんだから。

三谷:僕にそういうふうに言うのは、清水さんぐらいですもんね。古畑のマネしろなんて、普通ないから。】

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 「やっぱりなんか、モノマネってひょいと自分で思いついた時にポンと入れると楽しいんだけど、そうじゃなくて、さあ、おなじみのをやれ! と言われるのはつらいよね」という清水さんの気持ち、芸人ではない僕にもなんとなくわかるような気がします。
 身近なところでも、普段「面白いと周囲から言われている人」が、「こいつ面白いから」「じゃあ、なんか面白いこと言って!」というような流れでみんなの前で喋らされると、ほとんどの場合「面白くない」ですしね。
 「芸人」としては、「この仕事を始めたからにはもう宿命じゃないですか。そりゃやらなきゃ」と言われてもしょうがない面はあるのでしょうけど。

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04月09日(水)
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