ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「キットカット」を蘇らせたマーケティングの極意
『売れないのは誰のせい? 最新マーケティング入門』(山本直人著・新潮新書)より。
【テレビCMの効果があやふやだと思っても、どうすれば消費者に情報を届けられるのか。それは売り手にとって切実な問題である。しかし、いきなり2兆円の価値を問われても、少々迂遠なことに感じられたかも知れない。
それでは、新しい売る知恵はどのように生まれてくるのだろうか。テレビCMを核としたビジネスにこだわる人もいるが、危機感を持った人はもう動き始めている。そうした事例を一つ紹介しよう。
キットカットというチョコレートがある。かなりのロングセラーであり、シェアを持っている商品だ。だが、ある時期から停滞期に入っていた。もっとも大切な顧客である10代の若者にとって「有名だけれど、特に好きというわけではない」という位置づけのものになっていたのである。
これはロングセラーの定番商品の陥りやすいパターンでもある。簡単に言えば、マンネリになっていたということである。それはテレビCMにおいても同様だった。
このことに危機感を持った広告クリエイターたちは、どのように考えて行動したか。その経緯について書かれた本(関橋英作『チーム・キットカットのきっと勝つマーケティング――テレビCMに頼らないクリエイティブ・マーケティングとは?』ダイヤモンド社 2007年)が最近刊行された。詳細は同書にこと細かに記されているが、発想はシンプルである。
メインターゲットとなる高校生と、どのような関係作りをすることがブランドにとってもっとも有効か? この問いを徹底的に考えて、テレビCMのみに頼らないアイデアを考えたのである。
高校生が一番ストレスを感じる時はいつか? その時に、ブランドといい関係を結べることが重要と考えて「受験」に注目する。そして福岡の大宰府辺りでキットカットが「受験のお守り」になっているという話を耳にした。
「必ず勝つ」を福岡弁では「きっと勝つとお」という。他愛のない駄洒落ではあるけれど、ここからキットカットを「受験のお守り」として位置づけ、段々と高校生との絆を深めていくというストーリーである。
その過程には、テレビCMのみに頼らないマーケティングの知恵が凝縮されている。まずは受験シーズンのホテルで、チェックインした受験生に桜の葉書とキットカットを渡す。もっとも心細い時に誕生した、人とブランドの絆。ジワジワと反響が広がっていく過程は、小さな源流が段々と集まり、川の流れを生んでいくような趣がある。インターネット上のショートムービーや、卒業式でのサプライズ・ライブ(飛び入りのバンド演奏)など、定式に頼らないアイデアが続々と誕生していく。
マーケティングは「客の立場に立って知恵を使い続けること」と第1章で定義づけたが、そういう観点で考えればキットカットの施策は、まさにマーケティングそのものと言える。】
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「キットカット」というチョコレート、僕が子供の頃、今から数十年前にすごく流行ったあとに「定番商品」になってはいたのですが、確かに、次々の新商品が発売されるお菓子業界のなかでは、「有名だけれど、特に好きというわけではない」という感じになっていたのではないかと思います。
僕が日頃お菓子をほとんど口にしない、ということを差し引いても「まだこれあったんだ、懐かしい!」という理由以外で「キットカット」を好んで口にするような機会はほとんどありませんでした。
でも、これを読んでみると、そういえば最近になって、なんとなく「キットカット」の名前を耳にするようになったな、という気がしたんですよね。
「キットカット」が受験のお守りになっている、なんていう話も聞いたことがありますし。
ただ、九州人であり、博多弁をよく耳にする僕からすれば、【「必ず勝つ」を福岡弁では「きっと勝つとお」という】というのは、ちょっとムリがあるというか、地元の人はそんなふうには言わないよ……という感じではあるのですが、「イメージ」っていうのは、えてしてそういうものなのでしょう。キレンジャーみたいなしゃべり方をする熊本の人がいないというのと同じことです。
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08月08日(水)
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