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活字中毒R。
by じっぽ
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■「書店員のすすめる本」が注目される理由
『ダ・カーポ』607号(マガジンハウス)の特集記事「本屋さんがすすめるおもしろい本」の「書店員のすすめる本、なぜ注目される?」という記事より。
【いまや芥川賞、直木賞をしのぐ権威になりつつある「本屋大賞」。黒子的存在だった書店員が、”カリスマ書店員”として、表に出てくるようになってきたが、こうした書店員ブームはどこから出てきたのか? 永江朗さん(書店員経験のあるフリーライター)は、こう話す。
「一番大きいのは、新聞の書評が効かなくなったこと。広告もさほど効果が期待できなくなったと言われるなかで、口コミが一番強いと言われていますが、口コミに一番近いのが身近な存在である書店員さんのおすすめということなんだろうと思います。隣のお姉さん的な権威と言うか、評論家とか大学教授などの肩書きがある人が勧めるよりも読者には響いてくるんでしょう」
80年代から90年代にかけて、書店の環境が急激に変化したことも背景にあると、永江さんは指摘する。
「昔は閉店後に書店員同士でよく飲みに行って本の話をしたり読書会をしたりしたものですが、書店の営業時間が延びて二交代制、三交代制になったため、書店員同士で飲みに行く機会もなくなってしまった。本屋大賞が生まれた背景の一つには、そういうことがあったと思います。本屋大賞を作れば、会ったこともない書店員とも、一つのイベントで盛り上がることができる。書店員の孤立感みたいなものを出版社側がたくみにすくって、書店員をスターに仕立てた。いわば、作られたブームという面はあると思いますね。
出版点数が激増し、出版界全体の見通しがきかなくなったことも大きい。
「いま平均すると、一日で320点新刊が出てるんです。年間で約8万点。90年当時で年間4万点ぐらいですから、その倍になってしまっているんです。ところが、それだけたくさんの本が出ていると言われても、読者はピンと来ないですよね。一方、出版社は出版社で、本をたくさん出したものの、どういう理由で売れたり売れなかったりするかが、つかめずにいます」
知らないところで本が次々に出ては消えていく。そういう感じが出版社にも読者の側にもある。その流れの中心にいて、出版社と読者の両側が見える存在が、取次や書店なのだ。
「年間8万点と言っても、初版3000部の本だと置かれる店はいわゆるカリスマ書店員がいるような大型店に限られてきます。カリスマ書店員なら全体を見渡すことができて、そのなかから面白そうな本をピックアップしてくれるんじゃないかという期待が、出版社側にも読者側にも、すごく高まっているんです」
90年代後半ぐらいから盛んに言われ始めた”書店の個性化”も書店員ブームの要因になっている。
「書店員の個性が出るものといえばポップですが、あれを大きくしたのは、やはり<ヴィレッジ・ヴァンガード>。ポップのコピーライトセンスで本を売って、買う側もポップを書いたセンスを買うんだ、みたいなコミュニケーションが成り立ちましたよね。全国の書店にポップが浸透したことで、書店の側の主体が転換したのかもしれません」
(中略)
新刊が年間8万点も出版される昨今、たしかに水先案内人がいないと迷ってしまいそうだ。では、身近な水先案内人=書店員と、うまく付き合うには?
「書店員が一番気を配るのは、何と言っても棚。この並びの意味分かってくれたかなというのは彼らの一番気になるところですから、棚の編集を味わうのが、書店員さんとのいい付き合い方だと思いますね」】
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実際は、年間4万点だろうが8万点だろうが、「誰かひとりが読みきれるような分量ではない」ということにおいては、同じようなことなのではないかとも思えるのですが……
しかし、これほど「本が売れない」とみんなが嘆いている時代にもかかわらず、自費出版・共同出版が身近なものとなったためか、「出される本の点数」は増えていく一方のようです。8万点のうちで、『ベストセラー』と呼ばれるような本は、マンガを除けば年間数十冊くらいのものでしょうから、「自分の書いた本を売って生活する」というのは、本当に「狭き門」なのですよね。
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06月14日(木)
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