ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■たった一言で部下のやる気をなくさせた、新しい上司の言葉
『話すチカラをつくる本』(山田ズーニー著・三笠書房)より。

(「部下にやる気を出させる指示の出し方」という項の一部です)

【「部下に仕事の分担を告げたら、とたんに雰囲気が悪くなった、メールを開けたら文句がいっぱい」
「部下に仕事をふりづらくて、結局自分でかかえこんでしまっている」
 こんな悩みは、決してリーダーだけのものではありません。仕事で同僚やスタッフに指示を出す、趣味や地域の活動で人に仕事をふる、といったことは多くの人にあります。
 同じ仕事をふるのに、一瞬でやる気をなくさせる言い方と、やる気を奮い立たせる言い方。この差はどこから生まれるのでしょうか?
 私自身、企業で編集をしていた16年間に、上司の側も、部下の側も経験しました。あるとき異動になったのですが、送り出す側の上司は、それまで、私が編集で成果を出していたことを認めた上で、
「山田さん、新しい部署の人に、こんなスゴイ編集の世界があることを教えてやってくれ!」
 と言ってくださったのです。愛着のある仕事を離れるのは辛いことですが、この言葉にずいぶん癒されました。
 ところが、新しい上司は、もとの上司と人事が「編集実績が生きるように」と配慮したポストと、まったく違うポストに行けと言いました。異動で、送り出す側の意図と、行った先の配属が変わることはよくある話なのですが、それは、どう割り引いても私がこれまでやってきたこととつながらないところでした。
 なにより新しい部署の上司は、たった一言で私のやる気をなくさせたのです。
 それは、新部署にあいさつに行って、初対面、開口一番に、新上司が言ったこの言葉でした。
「山田さん、あなた、何年目?」
 異動者の社歴やこれまでの仕事などは、人事を通して資料が渡っているはずです。でも、新上司は、それを見ていないのか、読み飛ばしてしまったのか、とにかく、私のそれまでの仕事が頭に入っていないことを伝える言葉でした。
 まさにつながりの危機です。
「昨日の私は、今日の私ではない。昨日までやってきたことは、今日はまったく理解されない。今日がんばっても、こんなふうに、明日また理解されないかもしれない……」
 同じ、異動者に最初にかける言葉でも、
「編集をがんばっていた山田さんですね、人事から聞いていますよ」
 などだったら、たった一言でもずいぶんやる気は変わってくると思います。】

〜〜〜〜〜〜〜

「君、何年目?」
 状況はちょっと違うのですが、僕もこの言葉に傷つけられた記憶があるので、これを読みながら、自分の経験を思い出してしまいました。
 僕の場合は、他の病院の先生から患者さんの紹介の電話があって、その患者さんの病状を詳しく聞こうとしたときに、いきなり相手が「君、何年目?」とキレて怒り出してしまった、という話なのですけど。

 この相手は、明らかに僕より10年くらい年上で、それは相手も十分承知しているはずです。にもかかわらず、いきなりこんなふうに言われて、僕は正直なところ、かなり混乱してしまいました。
「何年目って……僕がこの仕事を始めてから何年目かってことだよなあ……僕が何年目かっていうのと、いま話している仕事について、何か関係があるのか?」と。
 まあ、あとから冷静になって考えると、「俺はお前の先輩なんだから、ゴチャゴチャ言わずに俺の言う通りにしろ!」ということだったみたいです。いや、僕の言葉遣いや口調に問題があったのかもしれませんが、このときはさすがに僕も腹が立ってしょうがありませんでした。僕が間違ったことを言っているのなら、それを指摘してくれればいいのですが、紹介であれば、紹介先にある程度の情報を教えるのは当然のはずです。僕はそのとき外来の最中で、まだこれから診なければならない患者さんのカルテが山積みでしたから、緊急性がどのくらいある患者さんなのかというのは、非常に重要なことだったのです。

 今、こうして思い出しながら書いているだけで不愉快極まりないのですが、僕はその人のことを「『年齢』『経験年数』だけで他人を押さえつけようとする、恫喝的で無能な人」だと今でも思っています。でもね、こういう人って、けっこういるんですよね実際に。

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05月18日(金)
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