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活字中毒R。
by じっぽ
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■女の子の部屋が必ずしも綺麗だとは限らない
『日々是作文』(山本文緒著・文春文庫)より。
(山本さんが、『TOKYO STYLE』という「東京で暮らしているごく一般的な人々の部屋の写真集」を見て考えたこと)
【みっちり眺めていくるか気がついたことがあった。ひとつは、私が思っているより多くの人がパソコンを持っていることだった。マックが沢山写っている。洋服や牛乳パックの山に埋もれ、ちゃんとおとなしく座っているマック。あと十年もしたら、東京は「今時マック持ってないの?」という状態になるのかもしれない。
そしてもうひとつ、ある感銘を受けたのは、女の子の部屋が必ずしも綺麗だとは限らないということだった。
(中略)
よくインテリア雑誌に載っているような、お洒落な部屋に住んでいる人を私は知らない。どんな女友達の部屋に行っても、掃除の程度には差はあっても、キメにキメてアンアンのグラビアみたいに生活している人はいない。もしかしたら、頑張って探せば一人ぐらいはいるかもしれない。でも、頑張らなければ探せないのだ。
この写真集の中で、これが本当に女の子の部屋? という部屋がいくつかあった。軽蔑しているわけでは決してない。ただ私は驚いているのだ。殆どの女性は、ある程度掃除というものをするのだと私は思い込んできたからだ。
女性は掃除好き、という意味ではない。私だって掃除なんか嫌いだ。あれは生産性がない。せっかく払った埃も、三日もすれば再び溜まるのだ。磨いた窓も一週間もすれば曇ってくるのだ。
けれど、放っておくのはもっと気持ちが悪い。お風呂掃除は面倒だけれど、湯垢で汚れたお風呂に入るのはぞっとする。スリッパが嫌いで、家の中では素足でいたいから、廊下や階段に埃が溜まっていると気持ちが悪い。だから、仕方なく掃除をするのである。
それが何故か、男の人というのは「汚くたって全然平気」という人が多いようだ。
大昔、私は恋人だった男の人のアパートに行き、よく掃除をした。その人はトイレまで磨いてくれたのかと感激していたけれど、それは別に彼のためではなかった。汚いトイレで用を足すのが私は死ぬほど嫌だったから掃除したのだ。
何故男の人というのは、汚れていたり散らかっていたりしても平気なのだろう。私は常々疑問に思っていた。
ところが、それは男だから女だから、というわけではなかったのだ。女の人でも「散らかっててもぜーんぜん平気。ゴミの袋なんか溜まっても新聞が積み上げられても平気なの」という人がいるのだ。ということは、そういう事態が我慢できない男の人というのもきっと存在するのだろう。
男女差ではなく、人間のタイプの問題だったのだ。なるほどねえ。
汚れていると落ちつかないタイプと、汚れていても全然平気なタイプの人間は、たぶん一緒には暮らせない。
世の中の未婚女性よ。あなたがどんなに尽くすタイプで、好きな男の人のためなら掃除なんかいくらでもしちゃうわと思っていても、それは恋愛のごく初期のことだけだと肝に銘じてほしい。汚くても平気な人間は、汚くても平気なわけだから、あなたが一生懸命掃除したところで「へぇ、掃除したのか」ぐらいにしか思わないのだ。そしてあなたは、汚くても平気なタイプの人のお尻にくっついて、永遠にゴミを拾い続けるのだ。必ずや、愛想をつかす日が来ると私は推測する。
さて、その大昔の恋人がこの前結婚をして、私はその新居に遊びに行ったのだが(いや別にやましいことは何もない)、彼らの新居を見て私は内心「あーあ」と思った。
その人はもう散らかし放題散らかす人で、その上”物を捨てる”ということを知らない人だった。本もCDも服も雑誌もあらゆるパンフレットも何もかも捨てずに取ってあり、かと言って整理するわけではないから、そりゃもう本人以外は手の付けようがないような状態の部屋だった。
それなのに、彼の新居は整然と片づいていた。3LDKのマンションのぴかぴかの部屋には、本もカセットテープもきちんと整理されて並び、服はクローゼットに掛けられ、彼のコレクションのミリタリーグッズは、プラスチックの衣装箱に押し込められていた。
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05月16日(水)
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