ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「ドリーム小説」を知っていますか?
『本気で小説を書きたい人のためのガイドブック』(ダ・ヴィンチ編集部 編・メディアファクトリー)より。

(「文芸編集者座談会〜”よい原稿”と”ダメな原稿”はココが違う!」の一部です。参加者は、
A:純文学系文芸誌編集者
B:純文学系文芸誌編集者
C:中間小説系小説誌編集者
D:エンターテイメント系書籍編集者
の各氏です)

【B:ひとりよがりプチ・ポルノといえば、おじさんが書く都合のいい小説ってありますよね。

C:それ、うちの編集部では、”ドリーム小説”って呼ばれてる(笑)。仕事もできて、妻ともそこそこうまくいっていて、社会的地位もあるイケてる俺が若い女に迫られる話。なのに、いきなり若者をつかまえて、延々と説教したり、世の中を嘆いたりもする。

B:職場にも家庭にも居場所のないような40〜50代のおじさんが、ただただ社会への不平不満をぶちまけているだけ。その世代の人が読んでも共感できない気がする……。

D:そもそも主人公がテーマを語るのはよくないかも。愚痴や不満じゃなくても、たとえば哲学めいたこととかは友達とか家族とか、脇役のちょっと賢い人に語らせるのがいい。主人公はちょっとバカで、あとから気づくほうが読者も感情移入しやすい。『世界の中心で、愛をさけぶ』で、主人公のおじいさんが死生観を諭すような場面があるけれど、それなら読者も主人公と一緒になって耳を傾けられる。いきなり主人公にペラペラ人生を語られても、感情移入はできない。

C:ハードボイルド系でも、主人公はどこかダメなところやマヌケなところといったマイナス面があったりするけど、これは恋愛小説でも使える手かもしれませんね。

――では、たぶんテーマとしてはもっとも取り上げる人が多いと思われる恋愛小説について伺いたいのですが。

B:ほぼ想像がつくことしか起きないんですよね、恋愛小説は。いい男と出会う。もしくは最初悪い男に見えたけれども実はいい男だった、とか。パターンに限りがある。

C:誰もが想像できる中で、どう話を進めていくか。筆力が問われるところですね。いかにキャラクターを魅力的に描けるかも重要。

D:恋愛小説ほど冷静に、客観的にならなければいけないジャンルはないでしょう。特に自分のことを書いてる場合、自分だけがすごい恋愛を経験していると酔っている人が多い。ノロケ話と同じで、本人が酔えば酔うほど、周りは醒める。

B:そういう意味では、”自分探し系小説”も同じことがいえますよね。自分だけが壮絶な経験をしている、と。

C:ノロケ話ならぬ、不幸自慢。

B:そうそう。女性だと、リストカットとかいじめとかトラウマを抱えた私、とか。

A:自分のことは書きやすい。でも、書きやすいということは、他の誰にでも書けるということ。自分より経験のある人、知識のある人、センスのある人には負けてしまう。

B:一方、男性だと、村上春樹さん的な、浮遊感のあるボク、この世界に違和感のあるボクが主人公、というのが圧倒的に多い。

A:一見、本人を投影している主人公は、自己否定しているように見えるし、当の本人も否定しているつもりなんだけど、結局は”社会に馴染めない特別な自分”を肯定しちゃってるんですよね。

B:自分がダメ人間という認識はあるんだけど、根本的には自分のことが大好きで肯定しているから、そういう人の書いた小説は最後まで主人公は変わらないままで終わる。自分がダメだって否定してみても、誰か「そんなことないよ」っていってくれる人が都合よく現れる。自分探しというより、「自分を認めてくれる人」を探してる。】

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04月16日(月)
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