ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「できるだけ早く」「いつか必ず」は、負け犬予備軍の合言葉
『あなたの話はなぜ「通じない」のか』(山田ズーニー著・ちくま文庫)より。
【日本に暮らす私たちが、省いたり、ぼやかしたりするものが主語の他にもまだある。
感冶課長「請求書は、できるだけ早く提出してください」
論田くん「できるだけ早くって、いつまでですか?」
感冶課長「できるだけ早くだ。総務は急いでるんだ」
論田くん「あの、何月何日の何時まででしょうか? 外注先にいま、お盆休みを取っている会社があり、17日の朝9時にならないと連絡がとれないのです」
感冶課長「できるだけ急いでもらってくれ」
論田くん「…………。では、質問を変えます。8月17日の10時までになら提出できますが、これでは遅いでしょうか?」
感冶課長「……。総務に聞いてみる」
感冶課長(戻ってきて)「論田、提出の期限は18日中だそうだ」
これは、業務連絡に日時がないことがネックだとすぐわかる。「できるだけ早く」は人によって「1時間以内」か「本日中」か、「今週中」か、ずいぶんブレる言葉だ。なのに、自分でもつい「できるだけ早く」「急ぎでお願いします」とやってしまうのはなぜだろう?
「時間」に決めは億劫だ。時間を入れなければ私たちはわりと自由に願望を語れる。「私、絶対自分史を出すわ!」「両親をヨーロッパに連れていくぞ!」では、それに日付を入れてください、というと、たいがい無口になる。以前、企業にいたとき、「事業計画とは、夢に日付を刻むことだ」と教えられた。最初はこの意味がわからなかったが、自分で企画を立てる段になって、アイデアをスケジュールに落としていくところで本当に苦悩した。そのかわり、日程が組みあがっただけで、ほぼ、仕事の全容が見えた。それだけ、時間の決定にはさまざまな要素が絡んでくる。大小さまざまな「決め」をしないと、適切な時間の設定ができない。
決めのない発言は、結局、相手に負担をかけてしまう。発信には、極力、日時を刻もう。
例えば、相手の都合を聞くにも、「いつがいいですか?」としないで、「8月20日までの間で、いつがいいですか?」あるいは、「17日、18日当たりいかがですか? 時間帯は午後ならいつでもかまいません」というように、積極的に具体的な日時を入れてみよう。
「お金」も同じように「そんなに高くない」「良心的なお値段で」などとつい曖昧にしがちだ。お金の話をあからさまにするのは、はしたないという習慣もあろう。しかし、例えば、会費8000円を、すごく高いと感じるか、そんなに高くないと感じるか、金銭感覚は人によってとても違う。不透明にしたままだと相手は自分と対等になれない。情報は持ってないほうが不利に立たされる。金銭の情報は、早いうちに公開し、相手が検討できるようにする。値段の決定ができない段階でも目安の数字は示したい。
論理の橋を架けるには、わかりやすいこと、人によるブレが少なく、どんな人にもガラス張りで、対等に内容の検討ができることが条件だ。
主語を決めることで人を決め、時間を決め、お金を決める。決める億劫さやリスクを引き受ける。優柔不断な人はどうしたって論理的になれない。論理的に話すコツは「決め」だ。】
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とても参考になるというか、僕自身にとっても、すごく反省させられる文章でした。こんなふうに「できるだけ早く」「なるべく急いで」などという言葉の語感の強さに満足してしまって、「どこが本当のタイムリミットなのか?」ということを曖昧にしてしまっていることって、かなり多いのではないでしょうか。それは結果的に頼む側にとっても頼まれる側にとっても「見解の相違」を生むだけのことなのに。
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03月23日(金)
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