ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10025880hit]
■「ミッキーマウスの保護」と「星の王子さまの解放」と
「週刊SPA!2006.10/3号」(扶桑社)の鴻上尚史さんのコラム「ドン・キホーテのピアス・586」より。
(鴻上さんが、弁護士の福井健策さんが『中央公論』に書かれた「著作権」に関する文章を読んで考えたこと)
【福井さんによると、今、著作権の世界では、廉価版のDVDの品質問題や訴訟問題(1953年問題と呼ばれたりしています)などがありますが、一番、問題なのは、「期間一律20年延長問題」なんだそうです。
以下、福井さんの文章を僕なりに紹介・理解すると――。
アメリカは、映画の著作権を、1978年に19年間延長して、さらに'98年にはまた一律に20年延長しました。現在、映画は、公表後70年ですが、このままいくと、また20年後の2018年には、20年の延長をするだろうと予測されています。
いえ、ひょっとすると、いきなり、「映画の著作権は、永遠に切れない」と宣言するかもしれません。
アメリカは、ミッキーマウスの登場する映画を、パブリック・ドメインにすることはないだろうと予測できます。そんなことを、認めるはずがないのです。
それは、もちろん、映画がアメリカの重要な「輸出品」だからです。これは、ヨーロッパでも同じです。
文化が重要な輸出品である限り、それを手放すわけにはいかないのでしょう。
で、著作権は、輸出元の現地の法律に従うので、日本も発表後70年にしないとまずいと、圧力をかけてきたのです。結果、日本でも、映画は、2年前に公表後50年から70年になったのですが、今、日本では、映画以外の著作物の著作権が、「クリエイターの生前全期間と死後50年間」から、「クリエイターの生前全期間と死後70年間」に延長されそうになっています。動機は、もちろん、欧米の外圧です。
欧米では、'90年代に、一律20年間延長しました。結果、文学や音楽などの著作権は、作者の死後70年になりました。日本もこれに従えというのです。
日本は、来年中に結論をだすと約束したそうですが、これに対して、福井弁護士は、「欧米主導の期間延長路線に追随するか、別な著作権のあり方を世界に発信できるのか、日本はよほど慎重にとるべき道を考えた方がよい」と書きます。
どうして、死後70年に安易に賛成しない方がいいのか?
福井弁護士は書きます。
著作権の保護期間が20年間、延長されることで死蔵作品が増加するだろう。「文学であれ音楽であれ、多くの作品は市場でそう長生きはできない。50年後も経済価値を維持できる作品は全体のほんの2%であるという指摘もある」。
つまりは、出版しても売れないから死蔵する。著作権が切れていれば、インターネット上にパブリック・ドメインとして公開することも(『青空文庫』という優れた活動があります)可能なのに、著作権の保護期間が続いていれば、それもできなくなる。
けれど、売れないから価値がないのかというと、「歴史・文学の再発見」という意味で、その価値は計り知れない。(死後、評価が高まった作家は、たくさんいます)けれど、そもそも、アクセスできなければ、その価値を発見することもできないのです。
欧米は、売れる映画を守ろうとして、最初は、14年〜28年だった著作権を70年まで延ばしました。結果、ビデオにもDVDにもならない、私たちがアクセスできない死蔵の映画が増えたのです。
その映画に、はたして価値がないと言えるのか?
そして、もうひとつの問題。私たちは、先人の文化を受け継ぎ、改変し、読み直して、作品を作ってきた、この「創造のサイクル」が失われる可能性がある、と福井弁護士は書きます。
『レ・ミゼラブル』も『オペラ座の怪人』も著作権の切れた有名小説を元にミュージカルとして花開きました。ディズニー映画は、『ピーターパン』や多くの過去の物語に基づいています。こういうことができなくなる、というのです。 去年、書店には、『星の王子さま』が並びました。これは、著作権の保護期間が切れた結果です。ここから、また、素敵な何かが生まれるかもしれません。それは、著作権が切れて、パブリック・ドメインになったから可能なのです。】
〜〜〜〜〜〜〜
[5]続きを読む
09月29日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る