ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「英会話スクール王国」の恐怖!
「英語ができない私をせめないで!」(小栗左多里著・だいわ文庫)より。

(「英会話スクール初体験!」という項の一部です)

【さて衝撃の学校を、もう1つ。ここは一軒の洋館まるごとが教室として使われている優雅な学校。
 しかし!経営者でもある、英国人の校長先生が厳しいことでも有名なのだ。しかも、この館に一歩でも入ったらすべて英語で話さなければならないという、初心者としては、かーなーりー(フラットめの発音で)緊張せざるを得ない環境。
 私もドキドキしていた。
 というか仕事とはいえ、行くのはイヤだった。だって私、何が嫌いって、「怒鳴る男の人」くらい嫌いなもんはないんである。
 しかし行きましたよ。そして、帰る頃には、「やっぱ無理!」と思う私がおりました。でもそれは、「スパルタ方式」だけが理由ではなかったのです。
 その授業は吹き抜けになっているリビングで行われ、パーティを想定して、英語とともに立ち居振る舞いも身につけられる、というものでした。生徒は私以外に5〜6名、校長と補助の先生2名がついて、パーティのときと同じように全員立って授業は行われます。
 パーティ……。
 恥ずかしがり屋な日本人にとっては苦手なイベント。
 堂々としていたいところですが、英語も不得意だとくれば、控えめにしておくのが無難ではありませんか。「余計なことはしゃべらない」というのは日本人にとっては美徳ですしね。「そんでオレ、こう斬ったらあいつ、こうきやがってよぉー」なんてベラベラしゃべる武士、カッコよくないですもんね。
 でもやっぱり、英語圏の人には許せないらしいのです、しゃべらない日本人。厳しい目で生徒を見渡しながら、校長は言います。
「パーティのとき、日本人は壁の前にズラ〜っと並んでしまっている。それは本当にいけないことなんだよ!」
 実際は英語なので細かいニュアンスはわかりませんが、とにかく怒っているということはビシビシと伝わってくる。

 先生として怒るのもわかるが、問題は続いて言った言葉。
「それは、”ゴキブリ・アイデンディティ”だ。”ゴキブリ・アイデンティティ”は捨てなければいけない」
 んん?今「ゴキブリ」って言った? 言ったよね。それはちょっとひどいんじゃない?
 確かこの人、ちょっと前までは同じことを「忍者アイデンティティ」と言っていたはず。
忍者」は許そう。バカにしている感じはそうないから。いや、あるのかな。
 わかんないけど、とにかく「ゴキブリ」は明らかにダメ。だって私、「ゴキブリ」くらい嫌いなもんはないんである。そして多くの人もそうではないだろうか。もし校長が日本語を習って、日本語の先生に、
「あなたの身ぶり手ぶりは大きすぎて、死にかけのゴキブリみたいよ。そのゴキブリ・アイデンティティ、捨てなさい」
 と言われたら、どう感じるんだろう。やっぱり怒るでしょう。人にされてイヤなことは人にもしちゃダメって、お母さんに教わったはずだよ万国共通! と私は思ったのだが、この学校、恐ろしいことに、
「校長が日本文化などに対して批判しても、言い返してはならない」
 という規律があるのだ。なんでも、
「語学を学ぶために授業であって、文化衝突の場ではないから」
 だそうである。
 じゃ、校長を止めろ。と、私なら思うけど、ここは校長の王国。彼が王様だから、何でも許されるし、それがイヤなら「帰ってくれ」と言われるだけなのだ。
 そもそも入学するときに、こういった禁止事項などが書かれた分厚い入学願書にサインをしなければならない。だから入ると決めたのなら、彼の攻撃的なジョークを素敵と思ってついていくしかないのだ。まあそういう人しか、入ってないのでしょうね。
 最初から「おや?」と思っていた私だったが、校長の日本批判はその後も随所に現れた(電車での酔っぱらいがみっともない、汚いなど。私もそうは思うけど)。
 ここで討論になるのなら、主張する術が身につくとかまだ実りはあるが、規律のもとでは、ただ苦笑しつつ彼の怒りに耳を傾けるだけだ。感情的な人の話も聴き取れるようにはなるかもしれない、けれど。】

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06月24日(土)
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