ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「街の自転車屋さん」が潰れない理由
「潰れないのはさおだけ屋だけじゃなかった」(構成/リテール経済研究会・三銃士、宝島新書)より。

(「これが街の自転車屋の収入だ」という項より)

【クロス:最近、自転車ってけっこう流行ってますよね。電動アシストがついているものもあるでしょ。ぼくも欲しいし。うち丘の上だから帰りがタイヘンなんですよ。あと、「健康にもいい」ってサラリーマンの自転車通勤も雑誌で話題になっていました。実は自転車は意外に売れてる、が答えじゃないですか?

江戸坂:そうかな? たしかに、格安の自転車を売っている量販店や高級なスポーツサイクルを売る専門店は繁盛しているだろうね。でも、街の自転車屋は高額な自転車を扱っているわけじゃないし、電動アシストつきにしても量販店よりも、2割も3割も高い。クロスくんだって自転車は量販店で買っているんだろ?

クロス:もちろん量販店でしか買ったことがありません! そして自転車屋さんに行くのは、パンク修理のときだけ……。あっそうか! 実は自転車屋さんは修理で儲けているんですね?

江戸坂:正解! オヤジさんに、「これから飲みに行きましょう」って、駅前の居酒屋に連れていかれてさ。酔っ払って詳しく教えてくれた街の自転車屋の月間の会計はこんなものだったんだ。

●新品自転車販売月6台
 (販売価格2万円−仕入れ値1万2000円)×6=粗利4万8000円

●ライト、鍵、ヘルメットなど部品販売
  約5万円−仕入れ値2万円=粗利3万円

●パンク修理月150件
 (修理代1000円−修理財のコスト10円)×150=粗利14万8500円

●その他チューブ交換などの修理の利益
  約20万円−材料代2万円=粗利18万円

●登録料、保険料など手数料
  4万円−原価3万2千円=粗利8000円

●合計粗利額 41万4500円

江戸川:このお店はオヤジさん夫婦に加えて、土日はアルバイトの親戚の子が来ているから、人件費はバイト代のみ。お店は自宅を兼ねているので実質的には家賃はなく、3年前の改装費のローンがあるだけ。さらに12月、1月、3月、4月は年末年始と新学期でセールスが大きく伸びるそうだ。なかなか潰れそうにない堅実なバランスシートだね。

クロス:自転車屋さんなのに新車の販売は1割だけ。意外だなあ。世の中面白いものですね。

江戸坂:そうだね。利益の8割は修理代から出ている。言うまでもなくこれは原価率が低いからこそ利益が高く、稼ぎのカシラとなっているわけだ。

クロス:もう何度も出てきた商売の大キホンですね。

江戸坂:パンクの修理代なんて原価率1%だしね。もし新車の販売だけで40万円の粗利を得ようとしたら、50台も売らなければならない。量販店全盛の今、街の自転車屋は販売店ではなく、限りなく修理屋さんになっていたというわけさ。】

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 街の小さな自転車屋を車の窓から眺めていて、本当にあれでやっていけるのだろうか?なんて疑問を持ったことがある人は、けっして少なくないと思います。だって、自転車なんてそんなにしょっちゅう買うものじゃないし、僕の周囲にも「自転車は、いつも近所の自転車屋さんで買っている」なんていう人はほとんどいませんし。
 ああいう自転車屋さんは、借金を重ねながら、意地で営業を続けているのかと思いきやさにあらず、この「月間の粗利の内訳」を見ると、確かに「自転車が売れなくても食べていける」ということがよくわかります。むしろ「修理ができることをアピールするために、自転車を売っている」のではないかと思ってしまうくらいです。
 街の小さな電器屋さんが潰れない理由というのも、たぶん、これと同じような感じで、「限りなく修理屋さんになっている」からなのでしょうね。

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02月07日(火)
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