ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「正しい接客」についての店員と客との深い溝
「にほん語観察ノート」(井上ひさし著・中公文庫)より。
【ファストフード店に一人で行き、十人前の注文をしても、店員が「こちらでお召しあがりですか」と聞く。こんな画一化された対応にも違和感を持たない人が、若い世代を中心にふえている。
文化庁「国語に関する世論調査」
(以下、井上さんがこの世論調査に対して書かれた文章です)
マニュアル敬語が全盛のようです。
敬語をどう使うのか、まったく無案内な世代がふえてきた。しかし、そういう世代を雇わなければやって行けない。そこで経営者たちは、敬語マニュアル(手引き書)や行儀作法の教師を用意して、店員たちに敬語や行儀作法を教え込む……ここまではいいのですが、教わった方は、これを杓子定規に、機械的に運用するだけなので、世論調査に表れたような小喜劇がおこる。柔軟な心のはたらきに欠ける機械的態度からは、カならず笑いが生まれます。だから小喜劇といっているのですが、いっそうおもしろいことに、若い人たちは、自分たちが喜劇を演じていることに気がつかない。あるいは、気にしていない。
また、三十代、四十代の客の中には、
「何度も通って顔なじみになっているのに、店員が初めての客に接するときと同じ言葉遣いをするのが気になる」
と答えている人もいるが、しかし半数以上が、「気にならない」と回答、十代の女の子たちになると、その八割までが、「気にならない」のだそうです。】
参考リンク:「王様の耳はロバの耳(4/28)〜マニュアル応対批判に対する反批判」
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今日の昼下がり、カーステレオから流れてくるラジオを聴いていたら、こんな話が流れてきました。
「私は一人暮らしで彼氏イナイ歴が長くなってしまったのですが、毎日仕事帰りにコンビニに寄って雑誌とヨーグルトと肉まんを買って帰るのが楽しみでした。でも、最近そこの若い長髪の店員さんに顔を覚えられてしまって、買い物をするときに『毎日来ますねえ〜』とか『あと肉まんですね』とか声をかけられるんです。寂しい女だと言われているようで、それがすごくイヤなんです」
文化庁の世論調査にもありますし、ちょっと前にみのもんたがやっていた「愛の貧乏脱出作戦」などでもそうなのですが、どうも「理想的な接客」というのは、「お客にあれこれ声をかける」ということだと思う人が多いみたいなんですよね。それが多数派の認識だ、ということなんでしょうけど…
僕は、こういう「馴れ馴れしい接客」って、あんまり好きじゃないというか、むしろものすごく苦手です。例えば、いつも行っている定食屋で「いつもありがとうございます!」とか、ちょっと一品サービスしてもらったりしたら、もうその店に行くのはやめようかな、と考えてしまうくらいに。
逆に、高級レストランや料亭などでは、そもそも頻繁に行くわけではありませんし、それなりのサービスをしてもらいたい、とは思うんですけどね。
「常連扱いしてもらう」というのは、裏を返せば「店にとっての特別なお客として扱われる」とういうことです。つまり、「たくさんのお客のうちのひとり」ではなくて「あのお客さん」として見られているということで。
そういう状況というのは、お客としても、かえって気を遣ってしまうのです。何か話しかけられたらちゃんと返事をしたり、世間話につきあったりしないといけないし、不機嫌な顔もしていられない。サービスとかしてもらったら、愛想良く「ありがとう」とか言わないといけないし。
そういうのって、正直「面倒くさい」のですよ。
僕が吉野家とかCoco一番屋のような店を愛用しているのは、味とか値段というよりも、そういう「煩わしい目にあわなくてすむ」という理由が大きいのです。
少なくとも日常生活のひとりでの食事の時間は、マニュアル対応のほうがありがたいと思います。あれはあれで、客も店員もお互いに気楽なところもあるんですよね。
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05月03日(月)
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