ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10028191hit]
■ノーベル賞の異端児、「ノーベル平和賞」
ロイター通信の記事より。
【国営イラン通信関係者によると、ハタミ大統領は、イラン国民がノーベル平和賞を受賞したことは喜ばしいとしながらも、平和賞を重要視しない考えを示した。
10日にノーベル平和賞を受賞したシリン・エバディ氏は、女性の人権を主張してきた弁護士で、保守派にとっては以前から頭痛の種だった。
改革派のハタミ大統領は、14日のエバディ氏の帰国に先立って、「同胞が受賞するのは喜ばしいと」述べたが、「ノーベル平和賞はそれほど重要ではない。文学賞と科学賞の方が重要だ」と述べたという。】
〜〜〜〜〜〜〜
参考リンク:「ノーベル賞受賞者一覧」
今年は日本人受賞者がいなかったため、あまり話題にならなかったノーベル賞ですが、こういうことを言っている人もいるわけですね。
まあ、受賞者のシリン・エバディ氏は、国内の保守派にとっては頭痛の種らしいですから、大統領としては発言しにくい状況ではあるんでしょう。
ところで、参考リンクを見ていただければわかるように、「ノーベル賞」というのは、6つの部門に分かれています。「医学・生理学賞」「化学賞」「物理学賞」「文学賞」「平和賞」「経済学賞」で、そのうち、1969年に加えられた「経済学賞」以外は、途中戦争の影響で何年かの中断があったりしたものの、1901年から連綿と続いているのです。
ダイナマイトの発明者として巨万の富を築いたノーベルの遺言によって制定されたこの賞は、学者・研究者にとっては憧れの対象。
しかし、他の賞に比べて、「平和賞」というのは、ちょっと異質な気がしませんか?
他の賞は、論文とか研究、作品などの物理的な成果に対して与えられる(もちろん、研究成果に対する評価基準なんて、絶対的なものはないのは確かですけど)ものですが、「平和賞」というのは、「人類の平和に対する貢献」という、モノサシで測るのが困難なものに対して与えられます。
「ニトログリセリンを使った工事が安全にできるように」とダイナマイトを発明したノーベルは、皮肉にもそのダイナマイトが戦争に利用されたために巨万の富を築いてしまったことを悔いていたため、あえて「平和賞」という部門をつくったと言われています。
上記のリストで受賞者を見てみると、「医学・生理学賞」や「化学賞」というのは、日本人受賞者以外はほとんど馴染みの無い名前ばかりですよね。
もっとも、この中ではいちばん親しみ深いと考えられる「文学賞」でも、ヘッセ、カミュ、ヘミングウェイなどの1900年代半ばの有名作家たちを除けば(そういえば、英国の首相・チャーチルも1953年に文学賞をもらっています。ちょっとしたトリビア)、よほどの海外文学通でもなければ、あまり聞いたことがない人が多いのではないでしょうか?
もっとも、日本ではエンターテインメント以外の海外文学はあまり読まれないし、文学の世界の共通認識として、作家の評価が文学史的に確立するには少し時間がかかる、という面もあるのですが。
さて、「平和賞」なんですが、これがなんとも形容しがたいのです。
今年は、ローマ法王、ヨハネ・パウロ2世やマイケル・ジャクソンの名前も挙がっていました。
まず、団体の受賞が多いという点(これは、別におかしいことではない)。
そして、けっこう有名な人が、受賞者に多いのです(逆に、個人では、有名じゃないともらいにくい賞なのかもしれませんが)。
しかし、「赤十字の父」デュナンにはじまり、キング牧師やマザー・テレサ、シュヴァイツアー博士、スーチーさん、ネルソン・マンデラさんなど、ややキリスト教文明寄りではあるものの、「納得!」と思わず膝を打ってしまうような名前が並ぶ一方で、「えっ?」と思うような人もけっこう受賞しているのです。
最近では、パレスチナのアラファト議長とか、古くは、太平洋戦争前に、日本に「ハル・ノート」を突きつけたアメリカの国務長官ハル氏が受賞。そして、金大中さんが南北会談実現で受賞したときには、あの金正日総書記の同時受賞も検討されていたという噂でした。
ノーベル平和賞には、きわめて政治的な賞、という面もあるのです。
[5]続きを読む
10月16日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る