ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「入間ネット心中事件」を引き起こしたもの。

毎日新聞の記事より。

【11日午後4時15分ごろ、埼玉県入間市下藤沢のアパート1階の空き室で、近くに住む無職男性(26)と若い女性2人が倒れ、死亡しているのを栃木県内の女子高校生(17)が発見、119番通報した。室内には七輪が4個置かれ、窓や部屋の入り口は粘着テープで目張りがされていた。狭山署は、3人は自殺志願者が集まるインターネットのホームページを通じて知り合い、集団自殺をしたとみられる。

 調べでは、3人は6畳和室で服を着たまま倒れていた。外傷はなかった。和室内にあった七輪の練炭は火が消えた状態だった。3人とも死後数日とみられ、一酸化炭素(CO)中毒で死亡したらしい。女性2人は寝袋の中で死んでおり、いずれも20歳前後とみられる。遺書などは見つかっていない。

 発見した女子高生は同署の調べに対し「男性がインターネットで、この部屋で自殺する人を募っていた。男性と連絡を取っていたが、電話が途絶えたため心配になった」と話しており、栃木県から様子を見に来たという。玄関の鍵が掛かっていたため、窓から室内をのぞき、3人を発見した。

 ネット絡みの自殺は、昨年10月には、東京都練馬区のマンションでも、ネットを通じて知り合ったと見られる男女2人がマンションの一室で自殺した。98年12月、東京都杉並区の女性(当時24歳)が、インターネットを通じて入手した青酸カリを飲み自殺、送付した札幌市の塾講師の男(当時27歳)もその後自殺したが、死亡後に自殺ほう助容疑で書類送検された。また00年10月には、今回と同様のホームページで知り合った福井県内の歯科医師の男性(当時46歳)と愛知県内の元会社員の女性(当時25歳)が睡眠薬を大量に飲み自殺している。】

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 僕がこの記事をはじめて聞いたとき、なんだか得体の知れない恐怖を感じました。だって、ほとんど見ず知らずの人と心中するなんて…
 もっとも、考えようによっては「将来を悲観して」という理由で、人生どう転ぶかわからない子供と無理心中する親より、良心的といえなくもないような気がしますが。
 
 それにしても、この事件によって「インターネットは恐ろしい」という先入観が深まってしまうのは、残念なことです。こんなに便利なものなのに。

 例えば僕が、どうしても将棋を指したくて居ても立ってもいられないとしましょうか。でも、身の回りで相手を探すってことは、けっこう難しいですよね。将棋が指せる人ばかりが周りにいるわけではないし、指せるとしても、相手が、ちょうど指したいとは限らない。運良く相手が見つかったとしても、その相手が自分にちょうどいい強さである可能性は低いはず。
 ところが、ネットで相手を探そうと思えば、まさに自分が求めていた相手が、かなりの高確率で見つかります。しかも、興味のある人が反応してくれるだけで、「断られる辛さ」は、ほとんど味あわなくていいわけですから。
 
 仮に僕が死にたいという強迫観念にかられた精神状態で「ひとりで死ぬのは寂しい」と感じていたとしましょうか。ネットがない時代で、知り合いに「一緒に死のう!」とお願いしたら、かなりの高確率で病院に行かされることでしょう。
 街中の女子高生に片っ端から「援助交際しない?」と尋ねたら警察に通報されるのと同様に。

 彼らは、インターネットという道具がなければ、出会うことはなかったでしょう。おそらく、3人という集団の力が、彼らを死に導いた部分もあるはず。
 人間が集まれば、ある一方向へと進むエネルギーが加速するということは、ナチスがユダヤ人に対して行ったことで歴史が証明しています。ひとりひとりのドイツ人が、あそこまでユダヤ人への憎悪を持っていなくても、人間の集団のエネルギーというのは、ひとりひとりの良心や意思を押し流してしまうものです。

 果たして、自殺は悪なのか?これは人間にとっては、永遠の課題。
 昔の哲学者がこんなことを言っています「人間は、あらゆる動物の中で、唯一自ら死を選択できる生き物だ」と。
 この3人のここまでの綿密な準備は、むしろ「死にたい」というより「死ぬことを愉しみたい」のではないか?という気がするし。


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02月13日(木)
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