ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「やらせ」と「演出」は違います。
 テレビ東京・伊藤隆行プロデューサーの著書の一部です。
 『伊藤P』こと伊藤プロデューサーは、『モヤモヤさまぁ〜ず2』『やりすぎコージー』などの人気番組を手がけている、テレビ東京のバラエティ番組の屋台骨を支える存在。
 
 ちなみにこの新書のなかで、伊藤プロデューサーは、「バラエティのように演出を施して良いジャンルと、ニュースのように演出をくわえてはいけないジャンルがある」と言及されていることも付け加えておきます。

 僕も、「ドキュメントバラエティ」はけっこう好きで、『愛の貧乏脱出大作戦』もよく観ていました。
 あれが「完全なドキュメンタリー」ではないことはわかってはいたのですが、このように制作側から「事実」を語られると、なんとなく興醒めしてしまうんですよね。
 実際は、「達人のワザを3日で教えてもらう」なんていう企画そのものが「ズル」ではありますし、「テレビカメラがその場にいる」ということが、すでに応募者をはじめとする周囲の人たちに影響を与えているのも間違いないでしょう。
 やっぱり、カメラが回っていると思うと、ダメ人間でも多かれ少なかれ「がんばってしまう」ものでしょうし、達人も、あまりに酷い仕打ちはできないだろうし。

 とはいえ、どこまでが「やらせ」で、どこからが「演出」として許されるのか、というのは、とても難しい問題です。
 「100%のやらせではない」ことに安堵しつつも、テレビ局のスタッフが、「寝たらダメです」と介入するのは、「演出」の範疇なのだろうか?と疑問にも感じます。
 もちろん、そうやって参加者を刺激しないと、番組として面白くできないのは事実でしょう。
 あの番組だって、「すばらしい人格を持つ参加者が、何のトラブルもなく、修行を完遂する」のであれば、視聴者にとっては、たぶん「面白くない」。
 たまにはそういう回があっても許されるのかもしれませんが、基本は、「ダメな人のダメっぷりを観る番組」なのです。

 でも、『めちゃイケ』とか『ロンドンハーツ』のような、芸能人が出てくるバラエティ番組であれば、「あれは『演出』です」と言われても、まあそうだろうな、とみんな思うだろうけど、素人が出演している「ドキュメントバラエティ」の場合は、「ドキュメンタリーだと信じている」人も、けっして少なくないはずです。
 そもそも、「ドキュメントバラエティ」って、それがある程度は「事実」だと信じていないと、楽しめない番組ですしね。

 そういう視聴者にとっては、スタッフによる介入は、小さなものでも「やらせ」と感じられる可能性もあるはず。
 
 「『やらせ』と『演出』は違います」
 テレビマンにとっては、そうなんだと思います。
 でも、観ている側にとっては、行き過ぎた「演出」は、「やらせ」と大きな違いはないようにも感じます。
 
 ただ、そういう「演出」を一切排除した「ドキュメンタリー」だけでは、「面白くない」のも事実で、制作側にとっての「演出」も「やらせ」だと一部の視聴者に責められるようになってから、テレビがつまらなくなった、というのも、一面の真実ではあるんですよね。
 カメラがその場に入っている時点で、「平常心」ではいられないのは、間違いないのだし。

10月11日(火)
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