ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10025498hit]
■「当時の私は、極端な考えだとは思いながらも、『引越し屋とは分かり合えない』と割り切ってバイトを辞めた」
もともとその植木屋は、伝統的に一橋の学生を雇い続けており、バイトの学生が卒業する時には「誰か後輩を紹介してよ」と頼んで、その流れを脈々と続けていた。したがって、「こいつはウチに合う」と判断された人間だけが紹介・採用されるため、「分かり合える人同士」の世界になり、心地良く仕事ができる。】
〜〜〜〜〜〜〜
なんというか、この「引っ越し屋でのバイトの話」を読んでいるだけで、僕はすごくいたたまれない気分になってきます。「だからエリートは……」って、僕も何度か言われて辛かったことがあるし、その一方で、もっと偏差値の高い大学を出た人たちから、「できそこない」だと罵られたこともあるので。
社会でも、ネット上でも、少なくとも建前としては、「どんな相手とでも、話せばわかる」あるいは「伝わらないのは、自分の側にも責任があるのだ」と言う人が多いんですよね。
そりゃまあ、「どんな人とでも、きっと分かり合える」というほうが、「どうやったって分かり合えない人もいるんだから、うまく棲み分けろ」というよりカッコいいし。
でも、僕だって、このRやKみたいな人と自分が「分かり合う」のは難しいと思います。こちらがどんなに先入観抜きで付き合っていこうとしても、向こうが「だからエリートさんは」みたいな態度であれば、「どうしてこちらばかりが真摯に良い関係をつくるための努力をしなければならないのか?」としか考えられない。「分かり合う」ためだけに「風俗」や「借金」の話題に付き合おうにも知識も興味もない。
世の中には、こういうときでも、「うまくあしらえる」タイプの人もいるんですけどね、たしかに。
中川さんは一流大学の学生であり、他の居場所を探すことができて良かったけれど、たぶん、他に仕事もなくて辞められず、こういう人たちの「イジメ」の対象になり続けている人もけっこう多いのではないかなあ。
もちろん、引っ越し屋さんがこんな人ばかりじゃないというのは僕もわかっています。
僕がいままで会った引っ越し屋さんたちは、みんなうちの大変な荷物(本が多いので、申し訳ないくらい荷物が多くてかさばって、しかも重い!)を気持ちよく運んでくれていました。
ですから、僕自身には、引っ越し業への「偏見」は無いのですが、こういう話を聞いてしまうと、どんな業界でも、「お客からは見えない場所」には、いろんなドロドロとしたものが積もっているのかな、と想像してしまいます。
テレビドラマやマンガの世界では、「分かり合えなかった2人が、共に困難に立ち向かうことによって、『仲間』になる」というのは「よくあること」です。
しかしながら、人間っていうのは、本当にずるくて、しょうがない存在で、中川さん自身も、RとKの「中国人差別」に乗じて、自分がRとKの仲間として認められたい、などと考えてしまいます。
これは本当に当時の中川さんの率直な気持ちだったと思うのです。
「分かり合えない人たちを強引に仲間にできる」唯一の方法は、「共通の外敵をつくること」なのかもしれません。
極論すれば、「日本が外国と戦争する」とき、「日本人」はみんな「同胞意識」を持つようになるし、宇宙人が攻めてくれば、いままでいがみ合ってきた「地球人」は、一致団結するはず。
「人類皆兄弟というのはウソだ」
悲しいけど、これは「真実」のような気がします。
この引っ越し屋でのバイトのような状況で、「RやKだって本当はいい人なのかもしれないんだから、こちらが真摯に接すれば心が通じるはず。差別するなよ」という言葉をかけられたら、僕は「それならお前が同じ目に遭ってみろよ!仮に根っこは善人でも、そんなとこまで掘ってやる義理はこっちにはない!」と怒ると思います。
それでも、「どうやっても分かり合えない人だっているのだから、自分にとって重要ではない相手に、そんな努力なんてするのは無駄だ」と言い切ってしまうのも、やっぱり悲しいんですよね。
04月19日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る