ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「『素直に承諾したものが損をする』というシステムは絶対に違う」
 何の連絡もなく、期日になって、いきなり「あと3週間」(…って、伊集院さんのパソコンは、すっかり「忘れられていた」ということなのでしょうか…)などと言われれば、怒らないほうがおかしいとは思いますが、それ以上に「何だそれ?」と感じたのは、ちょっと「それはおかしい」と言っただけで、「じゃあ明日出来ます」という豹変っぷりです。
 じゃあ、それってもともと1日でできる仕事なんじゃないの?という気がするし、もし、「本来の順番を飛ばして、あなたのパソコンを優先的に修理します」というのなら、それは「修理するメーカーも忙しいんだろうしなあ」と何も言わずに待ってくれている人は、どんどん後回しにされていく一方だということになります。

 たしかに、「そんな世の中はたまらない」のだけれど、そういう伊集院さんですら、結局は「自分のパソコンが早く帰ってくるのだったら、ここで事を荒げても面倒なだけだな」と考えてしまったのもまた事実。
 もし僕が同じ目にあったとしても、おそらく、同じように「煮え切らない思いではあるけれど、これ以上あれこれ言っても、嫌われるばっかりで何のメリットもないよな」ということで、「優先修理」を受け入れておしまいにしてしまったでしょう。

 実は、病院でも、こういうケースはあるんですよね。
 「あの患者さん、順番はまだですけど、待たせるとすぐ腹を立てて文句ばかり言うし、他の患者さんにも迷惑だから、先に診察してしまいましょう」という看護師さんに、医者になりたての僕は「それはおかしい」と何度も反論したものです。そして、何度も「面倒なこと」が起こりました。
 「医者も忙しいのだから」と、黙って長い時間待ってくれている患者さんはどんどん後回しにされて、自分の都合の良いようにならないと騒ぎ立てる人が優先されるのは、どう考えてもおかしいのに。

 ……でも、最近の僕は、正直、そういう場に置かれたときに「余計なトラブルを起こすとかえって時間もかかるし、そうなるとめんどくさいから、先に診てしまう」ことが多いです。ほんと、僕も少しどころではなく、「ダメになった」と思う。
 社会の末端のレベルでは、そういう「妥協」をしないと、不毛なやりとりで精神的にどんどん消耗していって、外来は大騒ぎする「モンスター患者」で雰囲気が悪くなり、全体の予定も遅れ……ということが起こるし、それを「自分から正していく」ほどの気概も余裕もないのです。

 僕にできることは、待たせてしまった「黙って待ってくれていた患者さん」に、「お待たせしてすみませんでした」と謝ることくらい。そういう患者さんは、だいたい嫌味のひとつも言わずに「先生も大変ですね」とねぎらってくれる人すら少なくないのですが、内心は「いい人でいようとすると、余計に待たされる」ということに不満を感じている人もいるんじゃないかなあ。

 僕は思うのです。
 今はまだ、「ごねるのは、みっともない」という雰囲気が社会に残っているのですが、このままどんどん「ごね得」な世の中になってしまったら、「ごねる人」はもっと増えていくだろうし、みんなの「ごね」は、どんどんエスカレートしていく一方のはず。
 そうなったら、サービスをする側にだって、いつかは必ず「限界」が来ます。すべてのパソコンが1日で修理できるわけがないし、外来の患者さんを十人いちどに朝一番に診察するのも不可能なのだから。

 しかしながら、現時点で、この「ごね得社会」がどうすればマシになるのか、僕には良い解決法が思い浮かばないんですよね。
 
 僕にできるのは、「優しく待ってくれている人」が、どこかでその分幸せになってくれていることを祈るくらい、なんだよなあ……
 

12月04日(金)
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