ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「勝間さん、自分と違う人がいることはわかります?」
勝間:それだけでも十分ですが、人間は食べていかなければならないのでお金にならなければ続きません。自分の生活を犠牲にしてまで、利他的な行動はできませんから。

香山:できませんか。

勝間:できないでしょうね。許可や報酬を与えるというのは、迷う時間をなくす意味もあるんです。何秒かでも利他と利己どちらかを迷うことが、会社や社会全体では莫大なロスになる。

香山:利己的行動より利他的行動を評価するほうがましだとは思いますよ。だけど、やっぱり評価しないとできないのかな。私はヒューマニズムというものに懐疑的でして。

勝間:私はそれはあると強く信じているんですよ。】

〜〜〜〜〜〜〜

 この『AERA』の対談記事を読みながら、「やっぱり、僕は『カツマー』には、なれないなあ……」と思いました。
 「ご飯が美味しければ幸せ」という話から、「おいしいご飯のためには、そこそこの経済力とスキルが必要です」なんて言われてしまうと、「いや、それはたしかにそのとおりなんでしょうけど……」と、ついていけなくなってしまうのです。
 僕が子供だったら、「自分と遊ぶ時間を『捻出』するために、そこまでいろんなものを突き詰めていく親の姿」を見て、そんなに「幸福」を実感できるものだろうか?
 むしろ、「無理して遊んでくれなくてもいいから、もっとゆっくりしてくれればいいのになあ」と感じるのではないかなあ。
 いや、勝間さんのお子さんは、僕みたいないいかげんな人間じゃないから、違うのかもしれませんけど。
 この勝間さんの話を読んでいると、勝間さんは「子供や社会のために」と言っているけれど、実際は、「いろんなものを効率化していくことそのものが楽しい人」のような気がするのです。
 そして、もちろん世の中は、勝間さんタイプの人ばかりじゃない。

 香山さんの「勝間さん、自分と違う人がいることはわかります?」と
いう問いかけに対する、勝間さんの答えは、とても印象的でした。
【わかります。私も昔、お酒もたくさん飲み、タバコも吸っていましたから。でも、やめたほうが幸せだと気づきました】
 勝間さんは、たぶん、「お酒やタバコで、ささやかな幸せに浸ることしかできない人間」の存在を理解できないのではないかなあ。
 「私ができたのだから、あなたもできるはず」というのは、ある種の「信頼」ではあるのだろうけど。
【空費の時間を楽しめるならいいですよ。でも、時間を空費しておいて、うまくいかないと悩むのはよくないと思います】
 という言葉には、まさに「時間を空費して、そのことに後悔しっぱなし」の僕にとっては、すごく耳に痛かった……

 この対談では、香山さんの「当たり前の思いやりと、リワードがあるからやることとは矛盾しませんか?」という問いに、勝間さんの答えが揺れていることが伝わってきます。
 僕も「利他的な行為が人事考課に反映されるようなシステムの下で行われる」のは、結局、「利他的に見えるような、利己的な行為」だと思います。
 「リワードがないと、利他的な行為は継続できない」と言っている一方で、「思いやり」や「ヒューマニズム」への信頼を語られていると、「で、結局はどっちなの?」と考えずにはいられません。
 勝間さんは、「世界を救おう」というよりは、「自分を信じている人たちを引き上げてあげよう」という人なんじゃないかと僕は思います。
 でも、「人生を効率化すること」に向かない人っていうのもいるし、そういう人は、香山さんのベストセラー『しがみつかない生き方』のオビにあったように「<勝間和代>を目指さない。」ことも大事な「自分を不幸にしないための戦略」なのではないかと。

 でもね、なんのかんの言っても、香山リカさんもあれだけたくさん本を書いて、精神科医としての仕事もこなしているわけだし、『しがみつかない生き方』と「単にグータラして、サボっているだけの生き方」っていうのも全然違うんですよね。

 正反対の主張をしているようにみえるけれど、勝間さんと香山さんの「距離」よりも、怠惰な僕と香山さんとの距離のほうが、実際は、よっぽど「遠い」のだよなあ。




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10月18日(日)
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