ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■気まぐれな「経営の神様」
 参考リンクでは、現在の「世界を代表する経営者」のひとりであるアップルのスティーブ・ジョブズの「乱行」の数々を紹介しているのですが、この二人の歴史的な経営者のさまざまなエピソードを読んでいくと、経営者というのは、必ずしも「完璧な人格者」である必要はないのだなあ、ということを感じます。

 僕がこの松下幸之助さんの「木造と鉄筋の話」を読んで最初に思ったのは、「なんて気まぐれな人なんだ、こんな人の下で働いたらたまらないだろうな……」ということでした。3度も部下の進言を断っておきながら、完成した途端に「それでも俺を説得するのが、お前の仕事だ!」なんて。
 僕だったら、もし自分の実力に自信があれば、その瞬間に辞表を提出してしまうかもしれません。たぶん、井植薫さんも「たまんねえなあ……」と思ったのではないかと思います。この話をずっと覚えておられるくらいですから。

 ただ、このエピソードには、やはり、学ぶべき点もあるんですよね。
 ひとつは、松下幸之助さんの「率直さ」。あれだけ自分が「木造にしろ」って言っていれば、いくら一目見ただけで「鉄筋にすればよかった……」と後悔しても、それを表に出すのはためらわれるのではないでしょうか。
 それを即座に「鉄筋のほうがよかった」と認めてしまえるのは、けっこうすごいことなのかもしれません。
 そして、もうひとつは、「切り替えの早さ」。
 人間関係の難しさというのは、一度それが壊れてしまうと、なかなか修復ができないところにあるのです。
 ちょっとしたことで誰かと言い争いをしたり、気まずくなってしまうと、お互いに敬遠しあって、さらに関係をこじらせてしまうというのはよくあることです。
 その人が自分にとって大事な人であっても、一度喧嘩をすると、なんとなく声をかけずらくなってしまいますよね。
 喧嘩した翌朝に、「昨日は悪かった」と一声かけることができさえすれば、「いや、こっちも言いすぎた」なんて水に流せることでも、「向こうが先に謝るべきだ」「昨日あんなに言い争っていたのに、一晩経ったくらいで急に態度を変えるのは気恥ずかしい」というような理由で、なかなかわだかまりは解消できず、謝るタイミングを逸してしまいがち。そうこうしているうちに、「あいつは自分を嫌って、避けているのではないか」という不信感が増してくるのです。避けているのは自分のほうであっても。

 「気まぐれ」「気分屋」のようにしか思えないこのエピソードなのですが、少なくとも、松下幸之助さんの「人間関係における切り替えの早さ」はたいしたものです。
 これだけアッサリ切り替えられたら、「なんなんだこの人は……」と拍子抜けしつつも、許してしまうしかなさそう。「わだかまり」の芽は、早めに摘むに限るのです。
 まあ、頭ではわかっていてもなかなか実行できないのが、僕のような凡人の宿命ではあります。
 ある意味「気分屋で、分からない人」ではあるのですが、こういう人は、たしかに周囲からすれば「謹厳実直な人格者」よりも面白く感じられることも多いんですよね。
 もちろん、松下幸之助さんの場合には、「従業員思いの経営者」という「基盤」があるからこそ許されるのでしょうけど。

 こういう経営者像というのが、2009年の日本でも受け入れられるのかどうかはなんとも言えませんが、こういう「人間関係における切り替えの早さ」っていうのは、いつの時代でも有効なのではないかなあ。

01月15日(木)
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