ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『さよなら絶望先生』の久米田康治さんが、Mr.マリックから学んだこと
久米田:編集者からのお誘いです。僕もこのまま「少年サンデー」で描いていても読者は僕に飽きているだろうし、僕のかわりに『ハヤテ……』が始まって、もういいでしょって感じだったんですよ。ちょうどそんな時に、お話をいただいたので。Mr.マリックが日本で人気がなくなったときにアジアを巡って大もうけをしていたんですけど、あれにヒントを得て、違う土地に行けば、僕のことを知らない人もいるだろうし、同じことをやってもそんなに気付かれないんじゃないかな……という小ズルい考えもありまして(笑)。正直にいえば「拾っていただいた」という感じですね。まだご恩が返せていないので、もうちょっと頑張らないといけません。

――結論としては大正解ですよね。

久米田:まあ、そのままいたよりはよかったのかな……という気はしますけど。

――実際、ファンのリアクションの変化はありましたか?

久米田:どうですかね。手紙とかをくれる方って昔からのコアな読者が多いじゃないですか。なので、ライトな方々にはどう思われているか、気になりますけど、わからないですね。やっぱり「少年マガジン」だと、渋谷の若者とかHIPHOPとかの人も読んでるじゃないですかねえ? 「何だか、載っててすみません」という気持ちですよね。

――いやいや(笑)。『改蔵』中盤以降で確立された「斜めに社会を見る」スタイルがかさらに洗練されたように感じます。

久米田:本当は違うこともやりたいんですけどね。この歳になってみるとなかなかネタの投げ方を変えるのも難しいじゃないですか。できれば変えていきたいとは思っているんですけどね。

――このスタイルが誕生したのはどういったきっかけからでしょう。

久米田:だいたい僕の場合は後ろ向きの理由から出来上がることが多いんですよ。「ギャグマンガで、読み切りで、ページ数が少ない」という条件が先にあると、どうしても表現方法は限られるじゃないですか。「ネタがあっても入りきらない」とか。そうした入らない部分を入れるために箇条書きで羅列する方法を作りましたし、キャラを無理矢理タテに入れるのも、コマが足りないからなんです。コマをちゃんと割ると半ページとか使ってしまうので、コマの上にキャラをのせるんですよ。だから、意図してやっているというより、仕方なくそうなった部分が大きいですね。

――コマを縦に抜くカットは情報量を増やすための策なんですね。デザイン的な観点から見ても、とても洗練されたマンガ技法だと私は思ってます。

久米田:それは、あくまで苦肉の策であって、そんなアーティスティックな考えなんて微塵もないですよ。

(中略)

――「教師が主人公の学園コメディ」という企画に決まったのはどのような流れですか。

久米田:最初講談社からお話をいただいたときは18ページで連載する予定だったんですが、ネームを練っている間に12ページに変更になったんですね。これは『改蔵』のときの16ページよりもさらに4ページも減っているんです。4ページ減るというのは大きくて(苦笑)。当初は「ちょっとしたラブコメで儲けちゃおうかな〜」とか思って、不登校の少女と不下校の少年という出会うはずのない二人が出会う話を考えていたんですが、ページ数が減ったので、ストーリーで行くのがキツくなってしまって。だからキャラを立てて、もっとわかりやすい形にするしかなかったんです。

(中略)

――ところで、『さよなら絶望先生』が評価され、昨年(2007年)は講談社漫画賞を受賞されました。周囲の変化はありましたか?

久米田:特にはないですね。ただ、授賞式の二次会でパーティをやらなくちゃいけない義務があって、そこでなるべく人と会いたくないので生前葬をやったら、ウィキペディアの「生前葬」の項目に名前が載ってしまって、僕のマンガを知らない人に名前が知られるようになったくらいでしょうか。「生前葬」で有名になってもねぇ……。

(中略)

――今後の目標は?

久米田:もう十分ですよ。ただなだらかに消えていきたいって感じです。】

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09月07日(日)
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