ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『自殺してもいいですか』という「問い」へのプロのカウンセラーの答え方
 あらためて考えてみると、「あなたはどう思いますか」って、かなり「上から目線」な態度ですよね。相談した側としては、「わかんないから聞いてるんじゃないか!」と言いたくなるはず。

 それに比べると、なんとなく「無責任」な第一印象の「うーん、なにが原因なんでしょうかね」のほうは、相談した側にとっても、「自分の相談内容は、この人も悩んでしまうくらいなのだから、自分が悩むのもしょうがない」とか「この人も一緒になって考えてくれているんだから、自分ももう一度考えてみるか」というような、相談者(クライエント)の安心感と自発性を引き出す効果があるのです。まあ、ちょっとした恋愛相談くらいだったら、「何よ、男だったら、もっとハッキリキッパリしなさいよ!」なんて怒られる場合もあるかもしれませんが、その悩みが真剣かつ深刻なものであればあるほど、この「同じ言葉を返す」ことは効果的であるように思われます。

 悩み相談というのは、クライエント自身が「答え」をすでに持っている場合が多いように感じられるのですが、いきなり「じゃあ君はどう思っているの?」って聞くのは、逆効果の場合もあるのかもしれません。思っていても口に出しにくいことだって、あるだろうし。

 もちろん、ここで河合さんが書かれているようなプロのカウンセラーが関わる事例というのは、僕たちが日頃経験する「悩み相談」などとは深刻さが異なる場合が多いのでしょうが、こういうちょっとした「言葉を返すテクニック」は、日常会話でも役立つのではないでしょうか。

 現実には、最後に河合さんが書かれているように「ケースバイケース」で、どんな状況でも「うーん、何が原因なんでしょうかね」としか言わない人よりは、黙りこくって一緒に泣いてくれる人のほうが、はるかに「救い」になることもありそうなんですけどね。

04月25日(金)
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