ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10024260hit]
■「日本の喜劇王」の息子の葬儀で起こった「悲劇」
僕はこの話を読んで、きっと、息子の葬儀で「笑われた」エノケンは、自分はこんな席でも笑いをとれるという「喜劇役者としての悦び」と、この状況でも笑われてしまうという「人間としての哀しみ」を同時に感じていたのではないかと思うのです。
僕はこれを読んで、観客(あるいは「大衆」と言い換えてもいいかもしれません)っていうのは、あるときにはとても温かく、そしてあるときには信じられないくらい残酷なものだなあ、と考えずにはいられませんでした。
そして、エノケンに向けられた、「早く帰ってやれ!」という言葉だって、悲劇を共有したいという観客の身勝手な感情移入の賜物だという一面もあるんですよね。本当に「帰ってほしい」と思っていたならば、誰も観に来なければ、エノケンは舞台に立たなくても良かったはずだし。
結局、こういう「観客の残酷さ」っていうのは現代でも何一つ変わってはいないんですけどね……
芸能人の葬儀であれば、会葬者に群がって「今のお気持ちは」とマイクを突きつけることが「当たり前」なのですから。さすがに表立って「笑う」ことはないけれど、テレビで中継される葬儀の多くは、「扇情的」で「興味本位」に取り扱われています。
それでも多くの人が舞台に立ちたがるのは、やはり「業」というものなのでしょうか……
01月25日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る