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活字中毒R。
by じっぽ
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■『FF』の生みの親、坂口博信氏が語る「『ファイナルファンタジー』との20年」
坂口:『3』のときに、少年ジャンプの鳥嶋さん(鳥嶋和彦氏。元週刊少年ジャンプ編集長で、『ドラゴンボール』などの編集担当も努めた。現集英社取締役)と初めてお会いしたとき、当時の『FF』の何がいけないのか、という話をされました。何でこんなこと言われなきゃいけないんだろうと思ったのですが(笑)、でもそれがひとつのきっかけで、『4』からまた大きく変わりましたね。マンガやアニメの世界で培われてきた表現方法を、スーパーファミコンというハードの性能のおかげで取り込めるようになり、よりキャラクターを立てる演出を使っていくようにしたんです。『4』は逆にキャラを立てすぎて自由度がない、とも言われましたが(苦笑)。そのおかげでハードの進化に合わせて、自分たちの意識も変えていかなくてはという想いが芽生えましたね。
(中略)
浜村:『FF』はつねにチャレンジをして、あとに続く道を、時代を作り続けてきましたよね。
坂口:あの、本当に格好つけるわけじゃありませんが、そのつどそのつど、集まってきたスタッフが優秀だったんです。
浜村:皆さん、いまでも仲がいいですよね。
坂口:そうですね、いち企画でスタートした『FF』だから、いま植松さんと会っても友だちのような感覚です。もともとのメンバーがそういう雰囲気を持っているので、作品にとっていい環境だったんでしょうね。
浜村:坂口さんと一緒に飲んでいると、周囲のスタッフが坂口さんに向かっていろいろ言い出しますもんね。
坂口:「坂口さん、それ間違ってますよ!」って当然のように言いますね(笑)。でも、作り手はどうしても自己満足で作ることに陥りがちなので、言ってくれるほうがいいんです。僕は『FF』のまえの作品で自己満足に陥って失敗したので、開発終盤にはゲームをテストプレイするモニターをチーム内に必ず入れるようにしました。とくに、やり込み系で、言いたい放題の子を選んで。彼らが言うんですよ。「坂口さん、この場所の宝箱、カネかよ」って。ハラ立ちますよねぇ。だから、「いいじゃん、カネで」と返すと、「ダメだ、わかってないこの人」って(笑)。でも、それを聞いて直すことが大切で。100万本売れたら50万人の人が、やっぱりそう感じるんです。そういう子たちってゲームに対してセンシティブなんですよ。いまその子たちは、開発スタッフに採用されて、がんばっていますね。
浜村:『FF』の中で人が育ったんですね。いまでは『FF』は、坂口さんのライバルになったわけですが、どう思われていますか?
坂口:戦国時代だったら、自分の前に現れた敵が息子だったというイメージですね。こいつを倒さないと先に進めないというような。……ライバルとは違って、むしろどんどん強くなっていってほしいです。商品として扱う以上に、作品であってほしいと思う。『FF』に込められた、そのときどきの最新技術で最高峰のものを、唯一無二のものとしてチャレンジして作る精神を貫いてほしいですね。
浜村:なるほど。では、最後に坂口さんにとっての『FF』とは何か。教えてください。
坂口:昔の精神としては、やはり商品ではなくて作品ですね。毎回魂を込めて、制作途中で浮かんだアイデアは決してつぎに取っておかず、すべて注ぎ込む。だから、終わったときは空っぽで、つぎに何を作ればいいのかわからない。でも、そうして自分を追い込むことで、また新しいモノが生まれるんです。そういう精神は、今後の『FF』にも引き継がれていくといいなぁと思いますね。】
参考リンク:『ファイナルファンタジー』誕生秘話
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本日(2007年12月20日)、ニンテンドーDSで、『4』のリメイク版が発売された『FF』。
この対談を読んでいると、『ファイナルファンタジー』がファミコンで発売された時代(1987年12月18日発売)のことがいろいろと思い出されてきたのです。
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12月20日(木)
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