ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「ほんとうの自分」を見つけようと思ったとき、あなたは、何をしますか?
もし仮に、相手が「現実に生きている人」であっても、その人の「ほんとうの姿」を知ろうとして、本人に直接「あなたはほんとうはどんな人?」って尋ねることはまずありえませんよね。相手が事実を言ってくれるかどうかわからないし、そもそも、自分の「ほんとうの姿」っていうのを自分で把握している人というのは、いったいどのくらいいるものなのでしょうか?
僕がもし突然街頭で「あなたはほんとうはどんな人?」ってマイクを向けられたら、何も言えずに黙って立ち去るしかないような気がするのです。そりゃまあ、さらさらと「自分という人間」について語れる人だっているのだろうな、とは思いますけど。
内田先生が書かれているように、「自分探し」には「旅」や「日常を離れた趣味」が必要だと考えている人がほとんどです。まあ、僕自身も、旅行をすると、孤独や緊張感と同時に、普段の「自分らしさ」から解放されたような気分になりますから、新しい自分の一面を発見するには、確かに有効な方法なのかもしれません。
しかし、考えてみれば、旅先だって長い間いればそれなりの「人間関係」が生じてきますし、新しい趣味でもそのうちマンネリにはなってくるのです。
それこそ、寅さんのような生き方をしないかぎり、そういう特別なシチュエーションでしか解放されない「ほんとうの自分」をキープするのは無理なんですよね。それが、「ほんとうの自分」なの?
この後の文章で内田先生も書かれているのですが、実際のところ、人間なんて見る角度や取り上げるエピソードによって、全然違う印象を与えるものです。ヒトラーだって、取り上げるエピソードを選べば、「芸術を愛し、第一次世界大戦後の不況のドイツを救うために理想に準じた男」になりえるのです。
それでも僕たちは、今ここにいる自分に満足できなくて、「ほんとうの自分」という幻想を追い求めずにはいられないんですよね。それが他の人からみれば、「自意識過剰な思い込み」でしかないとしても。
11月12日(月)
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