ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■富樫義博さんと本宮ひろ志さん、二人の「天才マンガ家」の肖像
あと、自律神経失調症のことも赤裸々に書いてありますね。本当にマンガが人生そのものなんですよ。嘘がない。病気でマンガが描けなくなった本宮先生は、絵コンテだけ描いて、あとはアシスタントに任せるんです。「友人のマンガ家とかで絵のうまい人間を連れてきて『原稿料半分やるから下絵を描いてくれ』というのが始まった。女を描くのも、自分でやったらもうどうしようもないから、カミさんに頼んだりした」。それで、最終的には全然プロでもない、自分の兄にまで描かせているんですよ。「兄の描く下絵のほうが私より少しはうまい」って、マンガ家とは思えない発言が(笑)。でもそのおかげで絵はアシスタントに任せて、本人は週休6日でゴルフばっかりしてるっていう、現在の本宮プロのシステムが出来上がるんですけどね。これに感動して次の本を楽しみにしてたら、次はゴルフエッセイ本だった(笑)。】
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ここに書かれている数々のエピソードが全部「事実」かどうかは僕にもわからないのですが(『サイゾー』ですし……)、マンガ家、とくに「人気マンガ家」なんていうのは、常人にはなかなか務まらない職業なのかもしれないなあ、という気がします。
『HUNTER×HUNTER』の連載再開については、ネット上でもかなり話題になったのですが、どんな人気マンガであったとしても、ああいう形で「休載」を連発するような作品は「切られる」のが当然であるようにも思えます。今回の「復帰」については、確かに、あの『週刊少年ジャンプ』も、「客を呼べるマンガ不足」に悩んでいるのかな、というようにも見えるんですよね。
今のジャンプだったら、あの江口寿史先生も「長期連載」が可能なのかもしれません。
しかし、ここで紹介されている富樫先生の「人柄」と「仕事ぶり」を読んでいると、編集者っていうのも大変な仕事だよなあ、と同情してしまいます。「完璧主義者の天才」っていうのは、読者にとっては素晴らしい作品を生み出してくれる存在なのかもしれないけれど、「24時間つきっきりで黙って待つ」なんていうのは、すごい苦行ですよね、週刊誌だし。そもそも、僕がマンガ家だったら、締切りギリギリのときに周りにずっと誰かが待っていたら気を遣ってしまってかえって描けそうにないです。しかも、終わったあと、せっかく描いた原稿を投げるなんて……
本当に毎週そんなに命削ってたら、そりゃあ、長期連載なんてムリですよね。
そして、本宮先生のエピソードも凄いです。こちらもどこまでが事実かはわかりませんが、これが事実だとしたら「本宮ひろ志」というのは、すでに「ブランド名」みたいなものなのですね。ここまで来たらもう、「本人が描くほうが周りからしたら偽者っぽい」のではないかなあ。それでも「本宮ひろ志の作品」がヒットしていれば、本人は満足なのでしょうか? 「代わりを探すのも才能のうち」なのだろうか……本宮さんはもしかしたら、「経営の天才」なのかも。
でも、こういうのって、アシスタントが自分の名前で同じ作品を描いても売れなかったりするのでしょうね。
この「二人の人気マンガ家」の話を読んでいると、あまりこだわりすぎるのも問題があるし、「丸投げ」というのも作家としてはどうなのだろう、と考えさせられてしまいます。
いずれにしても、「人気マンガ家になる」ことは大変なのでしょうが、「人気マンガ家であり続ける」というのは、それ以上に大変なことなのかもしれませんね。
10月14日(日)
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