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活字中毒R。
by じっぽ
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■「書店員のすすめる本」が注目される理由
 これだけ多くの本が出ていると、読む側としても、8万冊をすべて吟味する、というわけにはいきません。『本の雑誌』や『ダ・ヴィンチ』のような「いま出版されている本を紹介するための本」は、すっかり「定番」として認知されてきましたし、インターネットでの「口コミ」も、かなりの影響力を持つようになってきました。まあ、テレビや新聞の書評の「影響力」というのも、まだまだバカにはできないみたいですけどね。有名人が「読んで感動した」というだけで、ベストセラーになることも少なくないですし。

 ここで永江さんが述べられている「書店の環境の変化」は、ずっと人口数万人〜20万人程度地方都市を渡り歩いて生活している僕も実感しています。30年くらい前の「本屋さん」は、駅の近くにある少数の大規模書店以外、「街の小さな本屋さん」が大部分で、僕は親に「大きな本屋さん」に連れていってもらうのをとても楽しみにしていたのです。
 ところが、20年前くらいからは「郊外型書店」が主流になってきて、いままでは19時、20時に閉まっていた書店が、22時、23時まで開いているようになりました。そして今は、レンタルCD、DVDショップとの複合店と都会の大規模書店が主役となっていて、僕が以前通っていた「郊外型書店」は、いつの間にかバタバタと潰れ、他の業種の店に変わっています。たまに街の小さな書店に入ってみると、雑誌とベストセラーとエロ本しか置いてなくて、困ってしまったりすることもあるのです。
 そういう「書店の営業形態の変化」に伴って、「書店員」という仕事も昔とは全然違ったものになってきているのでしょう。レンタルショップが併設されている店では、23時、24時閉店が当たり前ですから、さすがに「仕事を終えてから飲みに行く」のも辛いでしょうし。
 確かに、そういう「書店員たちの孤独感」と「書店員という仕事にやりがいを見出したいという気持ち」が、『本屋大賞』や「POPの隆盛」につながっているのかもしれません。もちろん、そこには「自分という存在を誰かに認めてほしい」という書店員さんたちの願いもこめられているのでしょう。「自分が勧めた本を知らない誰かが買って読んでくれる」というのは、やはり「書店員冥利に尽きる」だろうから。

 Amazonのようなネット書店と品揃えや便利さで勝負するのは難しい面があるので、リアル書店としては、「ネットでは、『検索』はできても『偶然の本との出会い』は難しい」という利点をアピールしていくしかなさそうです。ただ、ネット書店というのも、家で宅急便が来るのを待っていなければならないもどかしさや面倒くささがあるのも事実なんですが。

 いずれにしても、街の小さな本屋さんには厳しい時代が続きそうですし、書店員という仕事も「本の仕入れ、陳列とレジ打ちだけやればいい」という時代ではなくなってしまっているのです。子供の頃は、「好きなだけ本が読めるラクな商売」だと思い込んで、憧れていたのに……

 「昔も今も、給料が安いのと本の重さだけは変わらない」と言っていたのは誰だったかな……

06月14日(木)
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