ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『天才柳沢教授の生活』がロングランになった「転機」
当時の少女漫画界というのは、全体的にみれば、必ずしも「恋愛中心主義」の作品ばかりではないので、「週刊マーガレット」という雑誌の読者層や編集者が求めていた作品と山下さんの作風が合わなかった、ということなのかもしれませんが。
僕がこの山下さんのインタビューを読んでいちばん印象に残ったのは、『天才柳沢教授の生活』がロングラン作品になったのは、「視点」を「教授を見る周囲の人々」から、「教授自身」に変化させることができたからだ、と語られている部分でした。
柳沢教授は、かなりインパクトがある特異なキャラクターですし、普通だったら、「教授のヘンなところを徹底的に描こう」とするはずです。現に、山下さん自身も最初はそうしています。
でも、もしそのまま「柳沢教授の変人っぷりを周囲の視点で描き続ける」という選択をしていたら、作品はこんなに長続きしていないはずです。だって、どんなに変わった人であっても、一人の人間の「引き出し」というのは、やっぱり限られていますしね。それこそ「3話ぐらいで終わり」になってしまったかもしれません。
山下さんは、「ヘンな人」である柳沢教授から観た「世界」を描くことによって、「みんなが『普通』だと思い込んでいる人や物事は、ちょっと角度を変えてみれば、いろんな『発見』に満ち溢れているのだ」と語り続けているのです。確かに「普通の人々の日常」が題材になるのですから、ネタ切れにはなりにくいはず。
でも、こういう「視点の転換」って、聞いてみれば簡単そうに思えるけれど、実際に発想し、作品にするのって、けっしてたやすいことではないんですよね。「柳沢教授の目から見た世界」を描くのって、「外部から見た柳沢教授の不思議な生態」を描くよりも、はるかに難しいことのような気がします。
05月10日(木)
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