ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「宮崎駿もこれで最後だね」と言われて、初めて気づいたこと
「スタジオジブリ」の看板といえば、もちろん宮崎駿監督なわけですが、「ジブリを陰で支え続けてきた男」が、この鈴木敏夫プロデューサーなのです。ただし、この鈴木プロデューサーに対しては、アニメファン、宮崎駿ファンのあいだでは、そのワンマンぶりや、タレントを声優として起用するというタイアップによる話題づくりに対する批判の声がかなりあるというのも事実なのですけど。徳間書店という大手出版社のアニメ雑誌『アニメージュ』の編集者だったにもかかわらず、宮崎駿への傾倒のあまり、売れないのを承知で「宮崎駿大特集」をやってしまったり、ついにはジブリに移籍してしまったりというのは、徳間書店からみれば、「ひどい裏切り行為」だとも言えますよね。
しかし、この鈴木プロデューサーの異質なところは、宮崎駿という才能に傾倒しながらも、彼自身は、自分の役割として「宮崎駿が映画を作り続けるためのお金を稼げるようなシステム作り」に没頭していったところのように思われます。『アニメージュ』にいたときには、雑誌の売り上げを度外視して、「宮崎駿特集」をやっていた人にもかかわらず。
純粋な宮崎駿ファンで、作品の質を尊重するのであれば、人気タレントよりもちゃんと経験を積んだ声優を起用するように進言するべきでしょうし、ジブリを「会社らしい会社」にする必要などなかったはずです。でも、自分の創作にはすごい力を発揮する一方で、「チャラチャラした雑誌の取材を断った」ように世渡りが上手いとはいえない宮崎駿監督にとっては、こういう「実務」をこなし、映画を商業的に成り立たせてくれる鈴木プロデューサーという存在は、非常に大きいものだったに違いありません。もし、鈴木プロデューサーの「宣伝力」がなかったら、ジブリの作品は『魔女の宅急便』で終わっていて、「いい作品ばっかりだったけど、あんまりヒットしなかった」という評価だけが後世に残っていたのかもしれないのです。
僕自身は、「クロネコのジジ」とかが出てくる『魔女の宅急便』以降の作品は、宣伝臭が強いし、内容も「文部省推薦」的な感じで、それ以前の宮崎駿作品ほど好きではないし、興行収入の上昇ほど内容が向上しているのかどうかは非常に疑問なのですけど(時間とお金はかかっていますから、アニメの絵のクオリティは上がっているとは思いますが)、少なくとも「同じ宮崎駿監督の作品」を、これほどまでの「お金が稼げる商品」にしたのは、この鈴木プロデューサーのおかげなのでしょう。
世の中には、「鈴木敏夫がいなかったために、宮崎駿になれなかった人」というのも、けっこういたのかもしれません。鈴木さんと宮崎さんって、イメージ的には、「お互いに価値観が違いすぎて、絶対に友達になれそうもない二人」のように思えるのに、ほんと、人生には不思議な巡り合わせというのがあるものですね。
12月04日(月)
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