ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『花の慶次』誕生秘話
 それにしても、この堀江さんの話を読んでいて感じるのは、「編集者」という仕事は、読者がイメージしているものよりも、はるかに激務なのだなあ、ということです。締切を守らない漫画家に悩まされる話、なんていうのはよく耳にするのですけど、編集者の仕事というのは、「原稿の督促」だけではないのですよね。作品が成功しても、漫画家のように長者番付に載るほどの見返りはないにもかかわらず、ここまで「良い漫画を作る」ことに熱中できるというのは、本当に凄いことだと感じます。『ジャンプ』だからお金が使えるというメリットはあるのでしょうが、資料集めの手間だけでもかなりの労力が必要でしょうし。しかし、こういう漫画の「資料」って、漫画家に「適当に描いといて」なんて言うわけにはいかないし、先日「構図の盗作」が話題になっていましたけど、本当に「そのへんの雑誌を参考に描く」というのも許されないのだなあ、ということに驚きました。
 そして、なんと言っても、良い作品をつくるためには、「信頼関係」が大事なのです。
 この堀江さんの話からすると、隆慶一郎さんは最初から快く「自分の作品を何でも使っていいよ」と仰っていたわけではなさそうです。でも、何の見返りも得られないかもしれないにもかかわらず日参してくれるこの編集者に、隆さんもきっと何か感じるところがあったのでしょう。結果的には、この「漫画化」のおかげで、『ジャンプ』は大ヒット作品に恵まれましたし、『花の慶次』で興味を持つようになり、隆さんの作品を読み始めたという人もたくさんいるはずです。もし、隆さんが、「がんでもう書けない」ということを知って、堀江さんが病室を訪れるのをやめてしまっていたら、『花の慶次』は生まれなかったでしょう。
 『週刊少年ジャンプ』に関しては、人気投票重視、専属契約などのビジネスライクな「負の側面」がクローズアップされることが多いのですけど、実際は、こういうちょっと泥臭いようにすら思える「人と人との繋がり」こそが、多くの人気漫画を生んできたのかもしれませんね。

12月01日(金)
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