ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「自費出版」は、美味しい商売!
もっとも、まとめると探しやすいという安易な理由もあるのだが(私たちのように自費出版物をまとめて棚にして販売している書店は多い)。専門書ジャンルにはお金にならない研究をコツコツとして、採算が取れるだけの市場がないための自費出版、というのはあるだろう。そんな実学・実用のジャンルと小説・エッセイのジャンルは読まれ方も買われ方も違う。市場は成熟している。どうやって読者に手にとってもらうか、買ってもらうか、読んでもらうか、編集者は本の中身はもちろん、頭を絞ってタイトル、レイアウト、装丁、帯の惹句を考える。とにかくお客さんにお金を出してもらわなければ、商売は成り立たない、と必死になる。
一方自費出版本は出版社にはとうに採算の取れた本だ、売りたいというオーラは薄い。たとえ力を入れて作ったとしても、ほとんどが無名の著者、新人登竜門の扉は固い。勝負はハナからついているのだ。入社したてのアルバイトにも「あれっ? これは自費系?」などと簡単に仕分けされてしまう本まである、どころか、ほとんどだ。つまり自費出版社は読者に顔を向けていない、マーケットを全く考慮していない、という意味で一般の出版社との間に線が引かれている。
著者のプロ・アマと出版(編集)のプロ・アマの組み合わせがポイントなのだ。「アマの著者と出版」組が販売力のない本を生み出しているのが現状で、それを私たちは「自費出版社系出版物」と呼んでいる。】
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「ジュンク堂」池袋店の副店長であり、書店員として30年以上のキャリアを持つ田口さんからみた「自費出版者系出版物」について。
ちなみに、ここで書かれている「怒鳴り込み事件」というのは、某出版社から出されていた本が、ジュンク堂のホームページで「自費出版者系出版物」に分類されていて迷惑している、というクレームがその出版社の社長を名乗る人物からつけられた、という「事件」です。ちなみに、その出版社は、ジュンク堂の担当者によると「自費出版物がメイン」で、このケースに関しては、「著者が出版社に『自分の本がそんなところに分類されるなんてけしからん』と抗議したため、出版社側も対応に苦慮して、書店にクレームをつけたのではないか、と田口さんは仰っておられます。
しかし、あの『リアル鬼ごっこ』のような稀有な例はあるにせよ(いや、あの本があんなに売れたというのは、それはそれで凄いことだとも思うのですが)、この文章を読んでみると、「そりゃあ、自費出版本は売れないよなあ」と考えざるをえません。知らない作者が書いた文章をそのまま適当に編集して並べた本と、プロの作家と編集者が生計を立てるために作り上げた本とでは、「競争力」が違いすぎますよね。しかも、自費出版本は、むしろ割高な場合が多いですし。
ここで挙げられている、田口さんの友人のお母さんの話にしても、「すばらしい作品だからハードカバーに」すると追加料金、書店で売るようにすると追加料金、販促をすると追加料金……と、なんだかものすごいシステムです。まるで、ぼったくりバーみたい。それでいて、個人名などの「問題になりそうな部分」だけはちゃんと証拠隠滅しておくという親切さ。いや、正直なところ、自費出版系出版社は、「出した本は、注文主からのクレームさえつかなければ、なるべく売れないほうがいい」と考えているのではないかと思えてきます。
多くの「非自費出版社系」では、「本が書店に並んでからが勝負」なのですが、「自費出版社系」では、「本が完成して、注文主からお金を貰った時点で、もうほとんど仕事は終わっている」のですよね。そして、もし僕が自費出版系出版社の経営者だったら、そういう「競争力に乏しい本を頑張って売る」よりも、「注文主からなるべく多くのお金を引き出したり、なるべく手を抜いて出版するまでのコストを下げる」ほうを選ぶと思います。どう考えても、そっちのほうが「確実で効率的」だから。
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11月10日(金)
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