ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■赤川次郎さんの『セーラー服と機関銃』執筆秘話
 裏番組として『デスノート』の映画版をぶつけられるなど視聴率的にはやや苦戦気味と伝えられている長澤まさみさん主演のドラマ版『セーラー服と機関銃』なのですが、この作品、薬師丸ひろ子さん主演の1981年公開の映画、原田知世さん主演の1982年のドラマから、24年目のリメイクということになるのですね。赤川さんの話によると、これまでにも何度かリメイクの話があったようなのですが、「映画のイメージが強すぎるから」ということで、ずっとリメイクを断られてきたそうです。まあ、薬師丸ひろ子さんが「ちょっとお姉さん」だった僕たちもすっかりいい大人どころじゃない年齢になってしまいましたから、さすがに「時効」だということでしょうか。

 2人の対談で僕がいちばん驚いたのは、赤川さんが、この大ヒット作品を「タイトルからつくっていった」というお話でした。それも、もともと女子高生が主人公の話を書こうとしていたところ、編集者に「タイトルだけでも」せかされたため、「面白いタイトルにするために、『女子高生』と最もかけ離れた単語と組み合わせてみた」のがきっかけだったなんて!
 それからの作品の組み立て方も、「まずタイトルありき」で、「じゃあ、女子高生に機関銃を持たせるにはどうすればいいか?」と考えた挙げ句、あの「目高組」という設定が生まれたのだとか。

 僕が普段考えているような、「まず登場人物と設定を考えて、ストーリーを練って、最後にタイトルをつける」というような流れとは、確かに「逆の発想」です。「まずタイトルが思い浮かんだ」場合でも、編集者にそれを伝える段階では、それなりのプロットくらいは準備ができているのが「普通」なのではないでしょうか。

 一般的には曲のほうからつくられることが多い歌謡曲にも「歌詞が先につくられるパターン」というのがあるそうなのですが、小説にも、こういう書き方があるんですね。もちろん、これは当代きっての大人気作家、赤川次郎さんだからできる「職人芸」なのかもしれませんけど、これを読んで、赤川さんがあんなに多作だったのも理解できるような気がします。まあ、赤川さんのすごいところは、そうやって生まれた作品たちが、軒並み大ベストセラーになっているところなのですが……

 僕は中学くらいのとき、赤川さんの作品ばかり読んでいる(というか、赤川作品しか小説を読まない)女子を「コバルター」(赤川さんの作品の多くは「コバルト文庫」から出ていたので。しかし、今から考えたら「コバルテス」かもしれないな)と名づけて内心バカにしていたのですけど、さすがに往時の勢いはないものの今でも現役で大活躍されている、この「ベストセラー職人」は、やっぱりタダモノではないみたいです。先入観抜きで読んでみると、けっこう面白い作品もたくさんあったものなあ。

11月01日(水)
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