ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■上村愛子の「10秒」
もしかしたら、彼女が報道陣の前で泣いたら、それはそれで視聴者は満足したのかもしれません。ああ、泣くくらい悔しかったのだな、って。
でも、彼女はそういう道を選ばずに、「感情を抑えて、自分が伝えるべきことをちゃんと言葉にする」道を選んだのです。僕には残念ながら、このシーンの記憶がないのですが、テレビの前では「負けたくせにおちゃらけやがって!」と憤っている人もいたかもしれません。この「背中を向けた10秒間」の彼女の心のうちを想像するだけで、僕などはもう、涙が出そうになってしまうのですけど。
世の中には、いろんな「勝負」があって、そこには「成功」あるいは「失敗」という結果がついてきます。もちろん、すべて成功できれば言うことないのですが、現実は、そんなに甘いものじゃない。
そして、「うまくいかなかったとき」にこそ、「もうひとつの闘い」がはじまるのです。
そういうときに、他人にやつ当たりをしたり、キレて自分を見失ってしまったりすれば、その「うまくいかなかったこと」に加えて、「アイツは、うまくいかないときは、他人のせいにする人間だ」というふうに見られてしまうし、そういう負のイメージというのは、いくらその後成功を積み重ねても、なかなか払拭できるものではありません。逆に言えば、「失敗したとき」にこそ、その人の「真価」が問われているのです。
僕は第三者として、こんなことを偉そうに書いていますが、このときの上村選手の落胆は簡単に言葉にできるようなものではないし、いくら抑えようとしても、抑えきれなくても仕方がない状況だったと思います。
それでも、上村選手は、自分に勝ってみせたのです。
試合や勝負に負けたからといって、自分にまで負けるのは、あまりにも情けない。そして、負けてしまったときにこそ、周囲の人は、「真の姿」を見定めようとしています。
たぶん、僕たちが「負けた……」と落ち込んでいるときに、「本当の勝負」がはじまっているのです。
06月30日(金)
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