ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■リリー・フランキーさんにとっての『東京タワー』
 あと、リリーさんのサイン会での姿勢にも驚きました。そりゃあ、初期のモーニング娘。の握手会とか、ジャニーズのイベントみたいに何千、何万人とサイン会に人が集まることはないでしょうが、それでも、【サイン会では、ひとり3、4分は話をします】というのは、すごいエネルギーを必要とすると思います。ちょっとした病院の診察時間くらいの時間をかけて、リリーさんは、初対面の「読んでいる人たち」と話をしていたのです。サイン会で「3時間立って待っていてくれる」ということを引け目に思うのならば、普通は「さっさとサインをして、人数をさばいてしまおう」と考えますよね。しかしながら、リリー・フランキーという人が、だからこそ「ひとりひとりと、ちゃんと話をする」のです。「待たせるのは申し訳ないから簡単に」ではなくて、「待ってくれているのだから、待っただけの価値を感じてもらえるように誠実に」というのが、リリーさんの考え方なのでしょう。
 いや、初対面の人と3分間話すのって、そんな簡単なことじゃないですよ本当に。

 こうしてみると、『東京タワー』がこれだけ売れたのは、作品そのものの魅力はもちろんなのですが、作品に対するリリーさんの向き合いかたや、下世話な言い方をすれば「読んでもらうための営業努力」も大きかったのかもしれませんね。「この本が泣ける本だということではなく、読んだ人がそれぞれ自分の体験にフィードバックして泣いているのだ」と分析されているのも凄いです。
 おそらく、リリーさんにとっては、この『東京タワー』という作品は、「一生に一度の作品」だったのでしょうね。こんな書き方や売り方なんて、何度もできるようなものではないでしょううから。

06月02日(金)
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