ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「お前は何を言ってるんだ!」とキレてみるのも一興
 このアイデアが功を奏したおかげで、世界初の音声認識会話ソフト『シーマン』は、認識率が低いというレッテルを貼られずに済んだのです。その代わりに、「気難しいペット」あるいは「口の悪いペット」というレッテルを貼られることにはなりましたが……。】

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 ちなみに『シーマン』とは、こんなソフトです。たぶん、「どこかで見たことあるなあ」という方も多いのではないでしょうか。
 『シーマン』の開発者である齋藤さんのこの文章を読んで、僕はけっこう驚きました。あの『シーマン』の「気難しさ」は、開発者側が狙ってそうしたものだと思っていたのに、実は「気難しくせざるをえなかった理由」というのがあったなんて。
 この前半部を読んでいて、ユーザーたちに「バカ」呼ばわりされるシーマンをずっと観ていた齋藤さんの辛さが、僕にも伝わってくるようでした。自分が手塩にかけて作った「音声認識会話ソフト」が、目の前で罵倒されまくっているのですから。
 「そんなわけのわからないことを聞くんじゃなくて、もっとちゃんとしたことを聞いてくれよ、お前のほうがバカだろ!」と言いたくもなりそうです。そもそも、そういう場で「試す」人はみんな、「これはわかんないだろう」というような言葉を選ぶものだと思われますし。
 しかしながら、そこで、「認識できる言葉を増やすと認識率は下がる」し、いくら認識できる言葉の数を増やしても、結局はみんな「わからない言葉探し」を始めてしまうはず。本当に、どうすればいいんだろう?という状況ですよね。
 でも、ここで齋藤さんが考えた「方法」というのは、まさに驚くべきものでした。「認識できる言葉をユーザーに喋らせるにはどうしたらいいのか?」という、逆転の発想で、齋藤さんは賭けにでたのです。
 僕も『シーマン』をやっていたのですが、シーマンは画面の向こうの僕たちに対して、いろいろな言葉を投げてきて、ときにはへそを曲げて返事をしてくれなくなったり、水槽の奥に行ってしまったりします。そして、そういうときの僕の反応は、まさにここに書かれているように「どうやったらシーマンはわかってくれるんだろう?」と、「シーマンにわかりやすいように自分の話しかけかたを変える」というものでした。そう言われてみると、「どうしてこの言葉がわかんないんだよ!」とユーザーである僕がキレても良さそうなものなのですけど。
 そういえば、僕はだいたい誰かとケンカすると、だんだん「あれは自分が悪かった、あるいは悪い面があったのでは…」と、どんどん自省モードにシフトしていく性質なのですが、これを読むと、そういう人間は、僕だけではないのですね、きっと。
 もちろん、万人が「自分のほうが悪いのかな…」と感じるわけではないと思うのですが、「なんでも受け入れてくれそうな優しい人」に対しては、「これでも何も言わないのかよ!」と攻撃的になりがちなのにもかかわらず、「聞く耳を持たないわがままな人」に対しては、かえって相手の顔色をうかがってしまったりしがちなのも事実。
 僕はテレビとかで「ヒモのパチスロ男に一方的に貢がされている女性」を見て、「こんな男のどこがいいんだ!」なんて憤ってしまいがちなんですけど、ああいうのも、男のほうに「お前が悪い!」なんて言われたら、「そうかなあ…」なんて考えてしまう人が多いということなのかもしれません。あの「催眠術ハーレム男」とかも、きっとそんなふうにして人の心を操っていたのではないでしょうか。
 たぶん、「同じだけの知識」を持った人でも、その「見せかた」で、世間の評価というのは全然違ってくるのだろうなあ、とも思います。「自分が知っていることだけを大声で決めつけて喋って、他人の話を聞かない人」というのも、当事者以外にとっては、けっこう「頭が良い人」に見えているのかな……

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付記:読みやすくなるようにレイアウトを変えてみたのですが、いかがでしょうか? 

02月28日(火)
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