ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「どうしてハイジは、お山が火事よ、と言ったのかな」
 このあと、清水さん自身が良く覚えているシーンとして、「おばあさんが『白いパン』だと喜ぶ場面」などを挙げておられます。確かに、同じ『ハイジ』でも、心に残るポイントというのは人それぞれですよね。僕も「おばあさんに白いパンを!」という科白はよく覚えていますが、それはアニメの影響でしょう。僕は最初にこれを読んだとき、この国語の先生の「すばらしく美しい夕焼け」のイメージというのも、この小説の文章だけから生み出されたものではなくて、テレビアニメの映像によって補完されているのだろうなあ、と思ったのです。ところが、「アルプスの少女ハイジ」のアニメが最初に放映されたのが1974年。清水さんは1947年生まれですから、この教育実習のときに二十歳くらいだとしたら、このエピソードは、アニメ放映前、ということになるのです。となると、この「三十歳くらいの女性教師」は、アニメに触発されたわけではなく、自力で、この「すごい夕焼け」の映像を作り上げていたのですね。そう考えると、この先生の想像力は凄いです。そこまで読み取らなきゃいけないの?という気もしなくはないですが。

 でも、思いだしてみると「国語の授業」って、確かにこんな感じでしたよね。「ハイジがバカだからです!」とか答えてウケを狙おうというヤツもいたし。小学生の僕も「夕焼けを火事だと勘違いしたんです」くらいは答えられそうですが、「火事」という言葉には、「美しさ」よりも「恐怖感」しか感じられません。「すごい」は認めるけど、「怖いくらい美しい」というのは、さすがに拡大解釈じゃないのかなあ、と。アニメで観ると、「お山が火事よ」という科白にあまり違和感はなかったので、「文章だけで伝える」というのは難しいことなのだと、あらためて感じます。

 まあ、僕自身は、教科書棒読みみたいな授業より、こういう先生のキャラクターが伝わってくるような授業のほうが好きだったのですが、「国語を教える」「国語力をつける」というのは、本当に難しいことですよね。「拡大解釈ができる能力」というのが「国語力」なのかと問われたら、それもちょっと違うような気もしますしねえ。

 

02月21日(火)
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