ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10028038hit]

■こんなの、漫画界じゃ日常茶飯事なんだよ。
 ただ、編集者やアシスタントに「こういう絵が描きたいだけど」と言えば、それなりのデータが準備してもらえる人気漫画家ばかりではないのが現実でしょうし(それでも、自分で取材しないと気が済まないタイプの人も少なくないようですが)、こういう事例というのは、実際はけっして少なくないと思われます。そりゃあ、普通はもっと「元の作品の痕跡を消している」ものでしょうけど。
 いしかわじゅんさんは、【こんなの、漫画界じゃ日常茶飯事なんだよ。俺だって、ずいぶんやられた。友人の漫画家にも、自分の絵を丸写しされたやつが何人もいる。小説は真似しにくいけど、絵とか構図って、真似するのは簡単なんだ。】と夢枕獏さんに言っています。このいしかわさんの発言が、たぶん「漫画界の悲しい現実」なのでしょう。そして、今回の事件であらためて思ったのですが、漫画にとって大事なのは「キャラクター」とか「ストーリー」だと考えられがりだけれど、実際は「構図」というのが、その絵、その作品にとって非常に大きな役割を担っているのだな、ということでした。手塚治虫さんの功績として、漫画における「映画的手法」の導入、というのが語られることが多いのですが、それはまさに「構図」の革命だったわけで。
 まあ、そんなことを言いはじめるのなら、日本の漫画家は、みんな「手塚治虫チルドレン」なのではないか、ということになってしまうのかもしれませんが。
 たぶん、今回の事件で、「次は自分が告発されたらどうしよう…」と戦々恐々としている漫画家は、けっして少なくないと思われます。ただ、そういうのは、漫画界の「慣例」みたいなものとして、お互いに目をつぶっていただけのことだったのかもしれません。ある意味「ネットが寝た子を起こしてしまった」わけです。
 「盗まれた側」としては、今まで、本当に歯がゆい思いをしていたのでしょうけど……
 僕は末次由紀さんという漫画家のことはよく知らないのですが、今回の「業界から抹殺」というような処分については、正直、ちょっと厳しすぎるかな…という印象も持っているのです。いや、最近の企業というのは、なんでも「厳罰主義」「徹底主義」化してきて、例えば、「ジュースの成分表示が違っていたから」という理由で全部回収して廃棄、みたいなのって、果たして、そこまでやるべきなのだろうか?と思わなくもないのです。企業イメージを守るためとはいえ、なんか勿体ないんじゃないか、と。
 今回の件で、末次さんが「クリエイターとしての反省」を求められるのは仕方がないとしても、「見せしめ」的な印象は否定できません。所詮、切ってもまた生えてくる程度の尻尾だったから、切ってしまったのではないでしょうか。
 「漫画界では日常茶飯事」なんてことをわかっているのは、いしかわさんだけのはずもないのだからさ。

10月19日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る