ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■屈辱の「日勤教育」
 今回の事故では、「理不尽なJR西日本」という報道が連日流されているわけなのですが、僕は正直、この会長の「指導というものは、ある程度のプレッシャーが必要だ」という発言に対しては、一概に「ひどい話」だとも思えないのです。少々ミスをしても「ま、人間誰だってミスもするし、しょうがないよね、また次がんばれよ!」というような明るい社風のほうが、イメージ的にはいいのかもしれませんが、それこそ「人の命を預かる」現場で、そこまで寛容であることが果たして正しいのだろうか、という気もするのです。一種の「恐怖政治」ではありますが、僕たちがごく当たり前のように享受していた「時刻表通りに動く電車」を維持するためには、今まで何十年も、この方法が奏功していたのだし(というか、大きな事故は起こっていないのだから「変える必要はない」と上層部は考えていたのでしょう。甘くして何か起これば、責任問題になりそうですから)、「日勤教育を受けたくない」というのは、すごいプレッシャーであるのと同時に、運転士たちにとっては、ネガティブな理由ではあるとしても、仕事でミスをしないための動機にはなっていたはず。そして、そういう実態に関しては、こういう形で事故が起こるまで、第三者たちはみんな「でも、そうやって厳しくすることによって、時間に正確になっているんだから、いいんじゃない?」とか、考えていたんですよね。
 そういえば、研修医のハードな勤務実態が問題視されたのも、実際に過労で自殺してしまった研修医が出てしまってからでした。たぶん、この事故さえ起こらなければ、この「日勤教育」だって、「運転士っていうのも大変だねえ」というような苦労話で済まされていたのではないかなあ。こういう「イジメ的な懲罰で、規律を維持するシステム」って、JRだけのものではないはずだし。
 それに「一度でもミスをした運転士はクビ」というシステムよりは、「日勤教育を経て復帰できる」というのは、「甘い」のかもしれないのです。もっとも、一度の小さなミスでクビにしていたら、運転士はすぐに足りなくなってしまいそうですが。

 ただ、当事者にとっては、こういうイジメ的なシステムというのは、ものすごいプレッシャーになっていたのは間違いないでしょう。その一方で、「草むしりでは運転技術は向上しないと思うけど、じゃあ、どんなことをやったら短期間で運転技術が向上するのだろう?」とも考えてみたりするのです。本来は、そういう専門的なプログラムでもあればいいのでしょうが、特殊な仕事なだけに、なかなか難しそうです。

 理想論としては、失敗を予防する、失敗しても最小限に被害を食い止めるのが最善の策ですし、失敗した人に対しては「懲罰」よりも「再教育」が望ましいはずです。「草むしりなんて、バカバカしい!」と思うけれど、草むしりをさせるのを止めたら済むという問題ではないのです。その一歩先の「どうすればいいのか」を考えなくては。

 それにしても「ミスが絶対に許されない仕事」とはいえ、こんな厳しい環境の中で、長年正確に電車を運行しつづけてきた現場の鉄道員たちは、本当に偉いなあ、と思わずにはいられません。こんな事故が起こらなければ、僕は彼らの苦労なんて、考えてもみなかったと思うのです。

 

05月01日(日)
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