ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
[10028085hit]
■その飲酒運転は、誰のせい?
田舎に住んで自家用車で通勤している人たちが、「仕事帰りに酒を飲む」場合、自分で車を運転せずに家に帰ろうとすれば「歩く」か「誰かに送ってもらう(あるいは迎えにきてもらう)」「タクシーの代行を呼ぶ」くらいしか方法はありません。歩いて帰れるほど近ければいいですが、そうでない場合、そんなに都合よく送り迎えしてくれる人なんていないでしょうし、代行にかかるお金もバカになりません。そんなふうに逡巡しているうちに、悪いことだと知りながら、「このくらいなら大丈夫」と飲酒運転をしてしまうわけです。
そして、お酒を出す店のほうも「当店は車の運転をされる方にアルコールは出しません」と書いてある店がたくさんあるにもかかわらず、実際に、客が帰るところまでキチンとチェックする店員さんなんて寡聞にして見たことがありません。僕は以前「飲酒運転の罰則が厳しくなって、売り上げが下がって困る。本音を言うと、車を運転する人に全然酒を出さないようにすると、田舎ではやっていけない」」という居酒屋の店主の話をテレビで聞いたことがありますし、「飲酒運転をする客がいるのも仕方ない。自分たちだって稼いで生きていかなければならないのだから」という気持ちもあるのでしょう。つまり「飲酒運転をしないと、成り立たないようなシステム」が、この国には完成してしまっていたのです。
おそらく、この加害者の妻だって、「飲酒運転が悪い」なんてことは、百も承知のはずです。過去に罰金刑を受けていたわけですし。でも、こういう常習犯の場合「いくら注意しても聞かない」という状況だったことは十分に考えられるのです。「そんな男とは別れなさい!」と言いきれればいいのかもしれませんが、実際にはなかなかそうはいかないでしょうし、「どっちにしても言うことを聞いてくれないのなら、気をつけてね、くらいしか言いようがない」のかもしれないし。
上司にしたって、「こういう人が飲酒運転で事故を起こす確率」と「口うるさく注意して、人間関係にヒビが入る可能性」などを考えると、「なんとかして止めさせる」という判断をしなかった理由もわからなくはないのです。そもそも、相手もいい大人なんだから、いくら安全運転責任者だからといって、上司が「飲み代を払ってやった」上に「代行まで手配する」必要性があるのかと言われたら、それは「過保護」なのではないかな、とも思います。それこそ「自己責任」なのではないかと。
「もし代行を呼んでいたら、若い2人の命は奪われなかったのに!」と憤る御遺族の心境はよくわかります。「どうして周りの人は止めてくれなかったんだ!」という気持ちも。
でも、その一方で、今の日本の「飲酒に対する寛容さ」というのは、まだ「飲酒運転をして帰る人を制止するのは不粋だ」と考えている人がたくさんいる、というレベルであり、飲食店も、家族も、周りの人も、本人さえも、「飲酒運転の危険性」に対する認識が低いこと甚だしいし、そういう意味では、この妻や部長は、一種のスケープゴート的な印象もあるのです。それこそ「みんな流れに乗ってスピード違反をやっているのに、なんで自分たちだけ切符切られるんだ、どうせならみんな捕まえろよ!」みたいな心境なのかなあ、とか想像してみたり。
肝心の警察ですら、どこまで本気で飲酒運転を取り締まろうと考えているのか、疑わしくも思えますしね。本気なら、それこそ居酒屋の出口に張り込んで飲酒運転できないようにすればいいはずなのに、そのあたりはなんとなく「地場産業保護」みたいな馴れ合いになってしまうし、乗る前に注意しては罰金を取れないから、「予防措置」にはあまり積極的でないような印象すら受けるのです。
今後の「アナウンス効果」というものを考えれば、この妻や上司に賠償責任あり、という判決が出たほうがいいのは間違いないでしょう。とはいえ、その「連座制第一号」になる人に対しては、正直「ちょっとかわいそうな気もしなくはない」のです。本来、お酒なんて、自分の責任で飲まなければならないもののはずだし、彼らも積極的に飲酒運転を奨めていたわけではなさそうだし。
[5]続きを読む
01月06日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る