ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「なぜ日本で私小説がしぶとく生きつづけるかわかる?」
ここで塩野さんが書かれている「巧い文章」というのは、あくまでも「伝えたい内容に向いている文章」であって、「読み手を意識して、満足させるのがプロ」ということなのでしょう。もちろん、それは「さまざまな表現方法」を否定するものではなくて、「巧い文章」というのは、「目的」ではなく「手段」でしかないのです。
そういえば、僕は以前、スポーツライターの草分け的存在である山際淳二さんのデビュー作「江夏の21球」をはじめて読んだとき、「なんて簡潔で突き放したというか、客観的な文章なんだろう」と感じ、この作品を「スポーツライティングの金字塔」を、どうしてみんなこんなに評価するんだろうか?と思ったことがありました。
でも、今は山際さんの「巧さ」がわかるような気がします。
あれは、「場面を客観的に伝えることによって、かえって、そこに潜んでいる感情を浮き彫りにしているのだな」と。
もし山際さんが「自分の文章の巧さ」をアピールしよう冗長な説明を書いていれば、かえって「事実の重み」は失われていたでしょう。
「自分が満足する文章」よりも「読む側に伝わる文章」のほうが、「本当に巧い文章」なんです、きっと。
そんなふうに意識しなくても自然に「伝わる文章」が書けるのが「絶対文章感」の持ち主なのかもしれませんけど。
08月11日(水)
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