ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「傲慢な人質」と「優しい日本人」
彼はスペイン内乱での「崩れ落ちる兵士」という作品で一躍脚光を浴びたのですが(ちなみに、この写真には、後々まで「ヤラセ疑惑」があったそうです。まあ、人間の考えることというのは、70年やそこらではあまり変わらないのかもしれません)、1954年にベトナムで地雷を踏んで亡くなりました。しかしながら、現代ではキャパに「キケンな戦場にノコノコ出かけていくなんてバカだ!」とう人はいません。多くの人は「彼には、戦場に身を晒すだけの『理由』があった」と理解しているのです。もちろん、彼が生きた時代には、「戦場に行くなんてバカだ!」と言っていた人はたくさんいたんでしょうけど
今回人質にされた3人はキャパではありませんが、たぶん彼らにも「イラクのような危険な土地に行くこと」に意味があったのでしょう。むしろ「そういう危ないところだから、行きたかった」のではないかなあ。
名声を得ているかいないかの違いだけで、「そういう危険な場所で何かをすること」に生きがいを見つけ出す人というのは、少なからず存在するはずです。
僕はジェットコースターに対して、「なんで金を払って怖い思いをしないといけないの?」しか考えられませんが、それが好きな人にとっては、「このスリルがどうしてわかってくれないの?」という感じなのと同じように。
そういう「価値観の差」というか、「温度差」みたいなものは、おそらく厳然として彼らと僕の間には存在しているのです。
山で遭難しても登山を止めない人がいるように、イラクで誘拐されたからといって、そういうキケンな場所に惹かれてしまう人だって、いるんだろうなあ。
今回のことで、僕はいろんなことを考えました。
そして、考えも変わっていきましたが、今の時点でのひとつの結論は、「彼らがイラクに政府の勧告を無視して行ったことは『自己責任』には違いない」ということです。彼らは誰に強制されたわけでもないのに、自分たちの意志でイラクに行ったのですから。
でも、そのこと自体は「彼らの勝手」です。他人が非難すべきことではないでしょう。彼らは彼らなりの「イラクに行く理由」を持っていたのでしょうから。それが、僕たちに理解可能な理由かどうかはさておき。
本来「自己責任」というのは、「自己責任だろ!」と他人を責める言葉ではなく、例えば冬山で遭難した人などに「自己責任だから、しょうがないね…」と、嘆息交じりに呟かれる言葉のような気もしますし。
「日本に迷惑かけやがって!」とか怒るというのも筋違いなんですよね。3人や家族に対して「どうしてイラクに行った!」と責めるより、日本政府に「好きで行った人たちなんだから、放っておいていい、救出しなくていいよ」と訴えるほうが、より彼らの希望にも沿っている気がします。
要するに、彼らの意志を尊重し、責めることもしなければ、助けることもしない。ただ「放っておく」だけ。自衛隊撤退とかは、全然別問題。
けっこう文句を言いながら3人を助けるために全力を尽くした日本政府は、それなりに優しくておせっかいなのかもしれませんね。
それでもね、やっぱり3人が無事解放されて、僕は安心しています。こう言ってはなんですが「あの人たちを助けるためだって、日本政府はこれだけ頑張ってくれたんだから、きっと僕が乗った飛行機がハイジャックとかされたら、全力で助けようとしてくれるよね」って思いますから。
それに、実際に自分が迷惑を被ったわけでもないし。
「税金をムダにして!」とか言う人もいますが、税金を集める用途のひとつは、本来「そういう不測の事態に対応する」ためでもあるはずです。一種の生命保険の掛け金みたいなものですから、僕はそれは「無駄遣い」だとは思いません。とはいえ、その救出費でイラクの子供たちはかなり大勢助かるのではないか、などとも考えなくはないのですが。
それでも、自分が誘拐されたら、いくら税金使っても助けてもらいたい。
わがままですみません。
どんなに渡航を禁止しても「行く人は行く」のだと思うのですよ、たぶん。となると、日本政府としては「これから勝手に行くやつはどうなっても知らないよ」とアピールしておく必要はあるでしょうね。
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04月16日(金)
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