ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6810、読書日記 〜具体と抽象 −3
         
             <『具体と抽象』 ―細谷功・著>
  * 抽象度の高いものほど自由度が大きく汎用性が高く、応用可能
 抽象度を高めるプロセスが考えることになる。米を、餅に加工するように、
具体という飯(めし)を、こね回し、練上げて抽象にする。 食べ手も、
餅を噛みしめる過程で、飯の味わいを噛みしめる。連日、文章化していると、
『具体』『抽象』を按配よく混ぜた炊込み御飯をつくってるような感覚になる。
野生動物を撮るカメラマンが被写体を撮影するシャッター・チャンスを待つ、
膨大な時間で無の境地の中、自然に湧いてくる言葉を練り上げる。その言葉が
被写体と、言葉が一体となって、見る側に、その真の姿を伝えることになる。
写真が具体であり、言葉が抽象になる。それが合致して見る者に、伝わる。
 
 〜ネットに <応用可能><単純化・方向性の統一><視野を広げる>
の切口で概略した投稿が秀逸である。

≪ 具体性ばかりが重視される「わかりやすさの時代」である現代において、
 本書は抽象化思考の重要性を再認識させることを目的としている。
 ここで挙げられている抽象化思考の利点は以下の通りである。
  <要約する(共通点を見つける)>
・複数の事象に共通する特徴・法則を抽出し、表現出来る。
  (「1を聞いて10を知る」)
・ある事象と事象の間に存在する目には見えない構造・関係性を抽出出来る
 ようになる。
・上述のような横方向の見え方が出来るだけでなく、縦方向(階層の上のルール
 や属性が、下の階層にも同じように適用できる)にも見ることが出来る。
→膨大な情報を目の前にしても、複数の階層からなる抽象のレベルで理解する
 ことで、それらの要点だけを効率的につかみ、必要に応じて必要な領域に
 ついてだけ、深堀りすることが出来る。
  〜〜
  ◉ <応用可能>
・抽象化によって抽出された法則は、他の場所でも活用することが出来る。
・創造的に新しいアイディアを生み出す。
 (アナロジー(類推):「抽象レベルのまね」)
→抽象度の高いものほど自由度が大きくて汎用性が高く、応用可能となる。
  〜〜
  ◉ <単純化・方向性の統一>
・抽象の世界とは、膨大な数の事象をどこまで「単純化」出来るかの世界。
 (量より質を重視)
・抽象化した概念は、複数の具体レベルの事象に「統一感や方向性」を与える
 ベクトルの役割を担う。
→膨大な情報や複数の事象を一つの大きなまとまりとしてシンプルに捉えられる
 ようになり、「個別の無機質な行動(具体)」も、意義とつながりをもった
 生きた行動になる。
  〜〜
  ◉ <視野を広げる>
・物理世界での事象を抽象化によって精神世界に持ち込み、思考の幅を広げる
ことで様々な解釈が出来るようになる。また、抽象レベルで捉えることで
広い視野で考えられるようになる(二項対立)
→「AかBかどちらかしかない(二者択一)」ではなく、様々な角度から物事を
眺められるようになることで、かみ合わない議論から脱却することが出来る。
以上、私自身も具体の世界ばかりを見て「わかりやすさ重視」で生きてきた1人
であったが、本書を通して抽象レベルでの思考の重要性を学ぶこととなった。
抽象度の高い思考が出来るようになる為にも、著者が述べているように、
まだ経験したことのない世界の疑似体験(読書や映画鑑賞など)にもより
積極的になり、常に広い視野で世の中の具体を眺められるようになりたい。
具体と抽象をセットで考え、抽象の世界と具体の世界の往復運動という
思考が出来るように努めていきたいと思う。    ≫
 
 ――
▼ 抽象度が高いのが川の『上流』、具体度高いのは『下流』に例えることが
 出来る。これは質の上下ではない。これは按配よく混ぜることで、全体の
質度が高まる。4コマ漫画を哲学書に混ぜたり、哲学を分厚い大型本にしたり、
するのは、この典型。この著書が、その典型。3分の一が、まったりした漫画

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11月06日(水)
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