ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5805,なぜ日本人は世間と寝たがるのか ―読書日記 2
<なぜ日本人は世間と寝たがるのか: 空気を読む家族
佐藤 直樹 (著) >
* 「世間」の4つのルール
世間をまとめると、《細かいカースト制度にならった差別意識の状況下で、
中元・歳暮、旅行先の御土産、貰い物の御裾分けなどのやり取りの中で、個人
の顔をひた隠す。建前は平等原理を引合いに、法事や祝い事などは大安などを
引合いにして物事を進める極く普通の人たち》になる。これを否定すると、
日本社会では、非常に生きづらくなる半面、アウトサイダーに徹すれば、
それなりに生きていける。その代償として(大変な人)のレッテルをはられる。
それに惑わされたくなけらば、自分の事業を立上げて、その中で唯我独尊で
生きるしかない。ただ、事業が傾くと、ふくろ叩きにあう。元もと、その接点
を最小にしておけば、馬耳東風で受流すことが可能。 要するに「世間とは
寝なければよい」だけのこと。父親は、『カス』の一言で切捨て、全く、気に
しない風にしていた。他人とのラインを家族に引いていた明治男の典型。
〜その辺りの要約を抜粋〜
≪ 歴史学者の阿部勤也は、「世間」のルールには主要に4つあるとする。
☆贈与・互酬の関係(中元お歳暮などのお返し、)、
☆身分制(年齢にこだわる、英語ではブラザー・シスターであり、
兄・姉を区別しないし、相手が大統領でも二人称はユーだ)、
☆共通の時間意識(個人の時間意識が存在せず、人間平等意識で能力差を
認めない、皆一緒という同調圧力)、
☆呪術性(クリスマス、盆の墓参り、お払いなど、信心深くはあるが特定の
宗教を信じるわけではなく、根底にはアニミズムや自然宗教の類がある)
1 贈与・互酬の関係
お中元やお歳暮が良い例。
相手との関係や上下関係を考慮して内容に差をつけるのも特徴的です。西洋には
プレゼントの習慣はありますが、贈与や互酬を習慣として行うことはありません。
メールにしてもそうです、送った以上は相手もそれに返答しなければいけないと
いう暗黙のルールがあり、LINEだと「既読スルー」などと揶揄されて気疲れする
原因にもなっていますね。日本人にはこのように「こちらがこれだけのことを
したのだから、相応の返礼があって然るべき」という考え方を持っているようです。
2 身分制
憲法第14条で法の下の平等を謳っているにも関わらず、色々なカーストがまかり
通っているのが現状です。スクールカースト、学歴偏重、ママカースト、部落差別
などなど。表には出さなくとも、そのような差別意識が法律よりも強い影響力を
持っているのが日本の世間です。つまり憲法がタテマエになってしまっている。
西欧でももちろん差別はありますが、この場合は法的に「人権」を掲げて戦うこと
ができます。個人が厳然と存在して「法の下の平等」が根幹をなす社会だからです。
しかし、日本は世間が強烈な影響力を持っている。だから、実質差別があっても、
それを覆すのが難しいのです。
3 共通の時間意識
出る杭は打たれる、ということです。
極論を述べれば日本人に「個人」はいません、これは西欧から輸入されて強引
に訳した言葉であります。みんな同じ時間を共有している、だから一人だけ
違うことをするのは許されない、みんな同じであるべきだという思想ですね。
能力差を認めないのも特徴的です。誰かが努力の末に結果が出なかったとしても
「運が悪かった」として、決して「劣っていた」とは認めない。人間には本来、
能力や才能の差があるものです。しかし、日本ではそれを周りにひけらかしては
いけないという「人間平等主義」が支配的です。皮肉なものです、これほど
あからさまに「身分制」が渦巻く世間で、表面的に平等を謳うのですから。
これでは多くの人が良く分からなくなり、病んでいくのも頷けます。
4 呪術性
合理的根拠のないルールが多いです。
大安に結婚式を挙げ、引っ越しを避け、友引に葬儀を執り行うことをしません。
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02月05日(日)
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