ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5527,若者よ、外に出よ! 〜⑥ カースト制のインドを知る
ゴキブリが油で揚げた菓子の上を通過し、ネズミが茶碗の周りを這いずり回る。
隣の男が茶碗にハエが入っていると怒ったら、店の主人が平然とした態度で、
スプーンで取り除いた。ハエや蚊は空気の成分と同じだという感覚が、
この土地で生活する条件の一つかも知れない。インドに入国してから
一週間も経ってない私だが、その状況に少しずつ慣れていった。
−
という具合で、もう自分がインドの茶屋で、
お茶を飲んでいるような錯覚に陥ってしまう。
また7人目の「インドに想う」−鎌澤久也の写真も、文も素晴らしい。
−
カルカッタといわずインドは楽しかった。人と動物が一体となり、
平等な姿で共存するインド、大通りに牛が寝そべり、交通の妨げに
なっても、決して文句を言わないインド人、ヒンドゥー教においては、
牛は神聖視されているからなのだろう。
しかし、乞食に堂々とした態度で、お金をくれといわれたのには
ビックリ。いまだに残っているカースト制度に起因をしているのだろうが、
君はお金を持っているのだから、持っていない自分にお金をくれる義務
があり、自分は貰う権利がある。確かに理は通っているが、いまひとつ
納得がいかない。・・・それはそうと、ある夜、デリーの安宿で、屋上
から街灯で浮かび上がる街並みや、華やかな通りを眺めていると、
見るからに長期旅行者といった、20代後半の男性から、
「人生とは何でしょうか?」と、突然話しかけられた。
ウ〜ンと私はうなってしまった。
ーーーー
「写真家はインドをめざす」
青弓社(共同 著書)
なぜインドを撮るのか。混沌、喧騒、氾濫――。
人々は渦を巻き、聖なる河はすべてのものを飲み込む。
写真家というフィルターを通して切り取った凝縮のインド、悠々の営み。
(カバーのコピーより)
▼目次
1 インド合掌 日比野宏
2 旅と写真とその理由 青柳健二
3 インドへ、その向こうへ 富張佳子
4 サドゥ 石川梵
5 マルチサーカス 三浦麻旅子
6 ドッグズ・アイの旅 小野寺誠
7 インドに想う 鎌澤久也
8 ブッダロードに微光を求めて 永橋和雄
9 サドゥとともに 栗脇直子
10 死を待つ家 松本栄一
11 幕のない劇場 武藤滋生
12 「水に祈り、水になる」 伊東恭介
13 インドの宗教空間のなかで 田村仁
14 インドで写真を撮る 山田和
▼著者プロフィール
日比野 宏(ヒビノ ヒロシ)
●著…1955年、東京都生まれ。
最初はファッション写真をめざしていたが、80年代後半より、
アジアを中心とした旅が始まり、写真と文章の本を出していく。
ー出版物に
『アジア亜細亜――無限回廊』『同――夢のあとさき』(講談社文庫)、
『エイジアン・ガール』『快!撮!アジア旅の写真術』(新評論)、
05月03日(火)
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