ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5525,若者よ、外に出よ! 〜C イスラエル・聖
長寿国になったが、それに備える知識教育はされてない。 その以前に、自立と
教養の問題に行き着く。御隠居学とか、余生の過ごし方のようなノウハウ本には、
長年かけた準備が必要とあるが、今日明日、そう簡単に良い老人への変身など
土台無理の話。そこで、せめて「明るく自立した生き方を目指すべき。
老人になると、人生で培ってきた要素の格差が大きく出てくる。老いていく
自分を自虐的に鳥瞰するのも面白いもの!
ー たまたまだが、以下の内容が、丁度つながる。
・・・・・・
4054, 吹き来る風が私に云う
2012年05月01日(火)
ー 帰郷 ー 中原中也
柱も庭も乾いてゐる 今日は好い天気だ
縁の下では蜘蛛の巣が 心細さうに揺れてゐる
山では枯木も息を吐く あゝ今日は好い天気だ
路傍の草陰が あどけない愁しみをする
これが私の故里だ さやかに風も吹いてゐる
心置きなく泣かれよと 年増婦の低い声もする
あゝ おまえはなにをして来たのだと・・・
吹き来る風が私に云う
ーー
この最後の二行が、現在の自分の心?でもある。
自分だけでない、晩年の人間から湧き出る言葉。
「あゝ、おまえは何をしてきたのだと・・・吹き来る風が云う」
ったく!お前という奴は!と、まともに人生を生きてくれば、
この言葉が出るのが自然。 秘境ツアーで、平々凡々に生きてきた人が
病気で突然、死に直面し慌てて人生の余白を埋めに来た人に出会ったこと。
死線を彷徨った手術の後、壮大な景色に感動して夫婦して肩を抱き合い
泣いている姿も見た。ネパールで遠景のヒマラヤ連峰が一望できる丘だった。
パタゴニアでは初老の婦人が何気なく、「親のいう通り生きてきたが、
ハッと気づくと、先が無い。私の人生で何もしてこなかった。このままでは
死にきれない。この旅行で、その穴埋めにきた」と、道すがら語りかけてきた。
「・・吹き来る風が云う」声で追われるように旅立ってきて、そこで何を
感じたのだろう。実は、この矛盾こそ実在。 生きてきた証である。
エッ 証文が束になっている? 誰? ただ飄々と風がふく。
05月01日(日)
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