ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5414,閑話小題 = 寒い朝〜つれづれなるままに
至っている。その間の失政による混乱は、あまりに悲惨である。戦後、
間接的アメリカによる統治で日本そのものが骨抜きにされたことは言う
までもない。小泉元首相の改革で垣根が低くなったが、格差は拡大。
これも仕方がないこと。
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3202, 一〇〇年前の世界一周 ー2
2010年01月10日(日)
先日の新幹線の行き帰りの車中で、旅行記の文章を読みおえた。
8割が117枚の写真で埋められていたので、70ページぐらいの文章で
しかなかった。その半分は、この本をまとめあげたドイツの文筆家の
フォローの文章であり、読みやすい。アベクが50年後に、この写真と昔の
メモを見ながら書いた文章で、旅行中はカメラに思いを込めていた。
そのため、その写真の向こうからアベクの思いが、そのまま出ているよう
でもある。この中で日本の写真は20枚あり、当時の庶民の姿が何ともリアル。
彼は旅行を通して、自分の住む世界に疑問を持つようになり、旅も終わりに
なるにつれて、考えが大きく変化したことに気づく。
「旅を始めたとき、彼は欧州文明が正しいという確信を持ち、その一員である
ことに誇りを持っていた。そして海を渡り、彼方で暮らす人々と知り合うよう
になった。すると、欧州の本当の姿は、安っぽい民族主義に包まれ、まるで
動物ででもあるかのように万国博覧会の見せ物になっていた世界の人とは、
大きく異なることを見いだしたのだ。彼等は貧しくとも、言葉が理解できなく
とも、奇妙な風習があっても、ワルデマールは彼等と心を交わすようになった。
インディアンの青年、快活なアメリカ女性、別府で過ごした二人の芸者、
日本の職人、友となったナカノ、北京で雇った少年、バラナシにいた敬虔な
信徒たち、そして、ジャワで見かけた花のような人たち・・」
「 シナ海やマラッカ海峡と比べたら、地中海には何の夢も描けない。
黄浦江から見た上海と比べたら、世界で最も美しいといわれたナポリでさえ
色あせて見える。ベスビオ山はせいぜい小さな丘で、インドネシアのセメル山
を見たときのような興奮を覚えない 」等々。 このリーマンショックは、
欧米中心で周っていた世界の崩壊過程の大きなキッカケである。彼は旅行を
通して、それまでの欧州中心の世界観が、いかに歪んでいたかに気づいた。
私の趣味が「世界異境、秘境ツアー」である。そこでみるのは、自分の世界が
いかに小さいか、そして歪んでいるかを再確認することである。
それより、大自然のパノラマの魅力もあるが。100年前の、この経験は、
それまでの価値観を根底から破壊するのは当然である。近代哲学の一群が、
いち早く、それに気づいている。 構造主義、脱構造主義などである。
アマゾンの原住民の風習と、欧米とどちらが優れているのか?
もしかしたら、彼らの方が?という疑問が出てきた。
100年前に、アベクは、それに気づいたのである。
タダ、彼は哲学者ではなかったのである。
01月10日(日)
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