ID:54909
堀井On-Line
by horii86
[383164hit]
■5545,子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの? 〜①
1.はじめに = 超高齢社会を迎えた我が国の社会構造は劇的な変化が
もたらされている.高齢者は社会的に孤立を余儀なくされており,このような
孤独な環境は 種々の喪失体験を増悪させ,特有の妄想反応や誤認症候群を生じる
母胎となる.「幻の同居人」もその様な症状の一つであり,「自分の家の中に
だれか知らない人たちが住み込んでいて,さまざまなかたちで自分を苦しめる」
という妄想と定義されている.「幻の同居人」はRowwan EL が1984 年に
「自分の家の中にだれか知らない人が住み込んでいて,さまざまなかたちで
自分を苦しめる」と訴える女性例を報告したことをもって嚆矢とされている.
「幻の同居人」は「天井裏や,床下に住んでいる」,「留守にすると部屋に
入ってきて,いろいろなものに触っていく」などと訴えられる.さらに自分
の行動がその同居人に監視されていると確信していることがある.
Rowan の報告例では,知的機能の低下や感情障害が明らかではなく,思考,
感情,精神運動の障害や退行などの脳器質性障害を示す徴候も認められない
ことから遅発性パラフレニーにみられる被害妄想とされた.
2・「幻の同居人」はどのような精神症状か?=「だれかが自分の家に
侵入して,物を盗んでいく,部屋を汚す,嫌がらせをする」などの住居(家)
に関する被害妄想は遅発性パラフレニー,遅発性統合失調症,接触欠損性妄想症
などにも認められる.高齢者では少なからず見出される.我が国においても,
同様の症例は,報告されている. 精神症状はいかなるものか,幻覚か,
実在性意識か,あるいは想像上の友達などとの鑑別が必要と思われるが,
必ずしも明確でない。
3.「幻の侵入者」か「幻の血縁者」か? = 確かに「幻の同居人」は,
本邦の高齢者にも稀ならず見出される.Terada S らは前述の「幻の同居人」
の特徴を分析して,「幻 の侵入者」と記載した.我が国では,このほかに
父,母,祖父,祖母,子供などの血縁者が現れることがある.外部から
侵入するのではなく被害的でも敵対的でもないことが多い.
むしろ親密で友 好的協調的な懐かしい血縁者であり,特に小さな子供の場合も
少なくない.これらは「幻の血縁者」と呼ぶことができるかも知れない.
この様なタイ プの同居人が比較的よく見出されることが我が国の特徴のように
思われる.また妄想性誤認症候群,鏡像現象やTV 現象を伴うことも稀ではない.
4.「幻の同居人」の発現機構 = このような精神症状は加齢による
さまざまな変化や社会文化的背景をもとに出現していると考えられている.
精神機能の解体過程,退行などによ ってゲマインシャフト的世界,しかも
日本的な農村共同体への回帰とみることができよう.「幻の血縁者」に子供が
現れることは,遠野物語のザシキワラシ 伝説とも相通ずることを示唆している.
▼ 以上だが、この「屋根裏に誰かいるんですよ」で、< 身体の一部を
失っても、脳機能は、それがあたかも存在するように感じ取る働きをする。
それに似た働きに近いのでは>は納得できる。作家の佐藤愛子本人が、色いろな
場所で、これに近い経験をしているが、作家なら、冷静に精神の衰えと看破する
はずだが、どうだろう。知人の夫人の場合は、高齢者の孤立、種種の喪失体験
などによる精神不安定が見て取れる。老化による精神機能の解体過程に出てくる
妄想ということ。私にもサードマンが頭の中に同居しているが、これは自分で
意識的に作りあげた対自。ちょっと違うか。
・・・・・・
4074, 屋根裏に誰かいるんですよ
2012年05月21日(月)
「幻の同居人」―都市伝説の精神病理 春日 武彦 (著
ーアマゾン 紹介文ー
まず、その奇妙なタイトルが目を引く。しかし本書は、そのタイトルから
受けるコミカルな印象とは異なり、精神科医である著者が、現代社会における
さまざまな精神病理を、きわめて冷静に考察したものである。 ある日、
ひとりの老女が、「自分の部屋に勝手に人が入ってきて困る」と訴える。
[5]続きを読む
05月21日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る