ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5346,貧乏生活で友だちもいません 〜身の下相談
・他人の妻には手を出さないこと
・食事をしていて、着物を汚さないように
 宴会場の壁には、酔っ払いの落書きに
〔とことん飲むぞ!〕というものもあった。
富める者と貧しいものとの格差が鮮明になり始めてきていた。
そして、貧しい者の荒んだ心がそのまま落書きになっていた。
〔あの男に災いあれ!」当時の円形闘技場の落書きの中に「闘技場の外で
多くの人同士が剣をもって争う姿」があった。試合を見ていた同士が喧嘩に
なって殺しあう事件が起こったのだ。普段の生活が、火山で時がそのまま
密封され生々しい世界が奇跡的に今に多くを語りかけている。
  −この私のポンペイのシリーズはまだまだ続くー
・・・・・・
2004/11/26
1333, 2000年前のポンペイ −4
遺跡の中でポンペイの遺跡は、奇跡に近い状態で当時の世界をそのまま
閉じ込めて現在に提示してくれている。このグラビアの本を開いているだけで、
気持ちが2000年の時空を飛び越えてローマの時代にはまりこんでしまう。
この小プリニウスの手紙には、大きな衝撃を受ける。この青年の知性にも、
驚きざるをえない。それと、大プリニウスの行動にも当時の知的レベルの
高さを知ることができる。この内容が、2000年前の事実がそのままドキュメント
風に記載されているから迫力があるのだ。人間の変わらない感動、恐怖、そして
生活がそのまま伝わってくる。街全体が、当時のまま残っているから、
更にこの手紙の内容が生々しい。18世紀の初頭まで人々の記憶から忘れ去られた
ことが、当時のままの姿を残すことにもなった。35年前の日記を昨日のように
感じるのは何ら不思議ではない。全て昨日のようなものである。
数ヶ月前のTVドキュメントは、この手紙を忠実に映像化をしていた。
そして、爆発が起きてからポンペイが埋まるまでの19時間も、当時の遺体の
様子から想像をしたドキュメントが生々しく時系列で構成されていた。
ー6月20日の手紙
私は先に、あなたの求めに応じて、伯父の死についての手紙を書き送りました。
手紙を読で、ミセヌムに残されたこの私がいったいどんな恐怖を味わい、そして
どんな危険にあったかぜひ知りたいと貴兄はおっしゃいます。実は、先の手紙
ではそれを書こうとしていて、筆を置いてしまったのです。「思い出すのも
つらく、悲しみは深いけれど、とにかくやってみましょう」
 伯父が出発した後、私はずっと勉強をして過ごしました。そのために残った
のですから当然です。それから入浴と食事をし、そして短く途切れがちな睡眠
をとりました。それまでも、前ぶれのような地震が幾日も続いていましたが、
カンパニア地方では珍しいことではなかったので、さほど恐ろしくはありません
でした。しかし、その晩起こった地震はあまりに激しく、もはや揺れていると
いう程度ではなく、すべてがひっくり返ってしまったかのようでした。  
母が急いで私の部屋にやってきました。私の方ももう起き上がっていて、
母がまだ眠っていたら起こそうと考えていたところでした。私たちは中庭に
避難し、腰を下ろしました。そこは海と建物を隔てる格好の空間でした。
当時17歳だった私は、落ち着いていたというか、無分別だったというか、
ティトゥス=リウィウス(訳注:古代ローマの歴史家、『ローマ建国論の著者)
の本を持って来させ、いかにも暇を持て余しているかのようにその本を読み、
やりかけのレジュメを続けていました。そこへ伯父の友人がやって来ました。
伯父に会いにスペインから戻ったばかりだというその友人は、私が母と一緒に
座って本を読んでいるのを見て、私の無気力と不注意を責めました。
それでもなお私は、熱心に読書を続けようとしていたのです。 もう昼の第1時だ
というのに、光はなおもぼんやりとして、まるで病人のように弱々しいまま。
すでに建物には亀裂が入っていました。私たちは屋外にいたのですが、
建物が崩れ落ちたときのことを考えると、その狭い場所では安全とは言えません
でした。ついに私たちは町を出る決心をしました。私たちの後には茫然となった

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11月03日(火)
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